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“決して足は速くない”ロッテ・中村奨吾の盗塁が増えた理由

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/05/16
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足が速くなくても盗塁はできる

 ただ自分は決して足が速い選手ではありません。直線で走ったら全然、速くはありません。50メートルは平均で6秒1か6秒2ぐらい。それでも盗塁を意識してから走るのが楽しくなりましたし、足が速くなくても出来るのだという意味で盗塁術の奥深さを感じるようになりました。この5月の段階で二桁盗塁(13盗塁、リーグ2位)を記録し、昨年の盗塁数を超えキャリアハイを日々、更新しているのも自信につながっています。

 まだまだ盗塁の技術はありませんが、思い切って行く勇気だけはあるかなと思います。スタートを切ってガムシャラに次の塁に到達することに関してはライバルに負けていないと思います。それはやっぱりベンチの「走れ!」という雰囲気と、好走塁をした時の盛り上がりが大きいと思います。自分だけではなく全員にとって凄く走りやすい空気を作ってくれている。これからはもっともっと成功率を上げていかないといけませんが、今は失敗を恐れずに勇気をもって走ることを大事にしたいと思っています。

すでに昨季の盗塁数を上回り、キャリアハイを更新している

 飛びぬけた長打がない分、自分は走る事で得点圏に進み、点に絡みたいと思っています。そして自分の前を打つことが多いルーキーの藤岡裕大内野手にも、「俺のことは気にせずにどんどん走れ」と話をしています。それはもちろん一塁にいるより二塁に行ってくれた方が得点になる確率が高いですし、投手にもプレッシャーになります。バッテリーに走ってくるかもしれないと思わせるだけでも、配球が変わるかもしれませんし、球が甘くなるかもしれない。ちょっとした盗塁が流れを変えると思っています。

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 シーズンの最後に自分がどれくらい走っているのか、そしてチーム全体としてどれくらいの数字となり、その結果、どれほどの勝利を積み重ねているのか。それは一年が終わった時に考えること。今は目先の一日を大事に、一つずつ積み重ねていきたいと思います。ファンの皆様はマリーンズの選手が塁に出たら「リリリリー」と盗塁を後押しする応援をこれからも宜しくお願いします。それではZOZOマリンスタジアムで皆様のご来場をお待ちしております。

千葉ロッテマリーンズ内野手 中村奨吾(構成/梶原紀章)

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