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ホームランを褒められると複雑……阪神・秋山拓巳のホンネ

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/05/19
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“恵みの雨”でウイニングショットに輝き

 2年連続の開幕ローテーション入りを果たして迎えた今季。キャンプの反動が出てきたのか、1カ月を過ぎても「直球が全然ダメで。思った通りに投げられたボールがほとんどない。いつ上がって来るのかな……と思うぐらい」と不安ものぞかせていたが“恵みの雨”が、降り注いだ。

 雨天中止の影響で、5月1日のDeNA戦まで中9日の登板間隔が出来た。通常は1度のブルペン入りを3回に増やし、フォームの修正に取り組むと「良い球がいくようになった」と光りが差し込んできた。果たして、DeNA戦では2勝目を今季初完投で飾った。5回1死三塁のピンチでは梶谷、柴田を連続三振。両者とも内角に投じた147キロ、146キロの直球で斬った。

「(ブルペンでつかんだ好感触を)試合の中で取り戻していって、直球を軸として使えたのが大きかった」。多くの時間を捧げてきた「ウイニングショット」が、ようやく輝き始めた。そして翌週の巨人戦で2戦連続の完投を新人時代の10年以来、8年ぶりの完封で達成したのも必然だったのかもしれない。

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 翌5月9日付のスポーツニッポン関西版は当然ながら秋山の歴史的ワンマンショーを文句なしの一面で報じた。衝撃度を考えれば、打者としての「一発」の文字が大きく躍るはず。ただ「投手」での活躍に敬意を払って「完封」の大見出しを名前の横に配置した。

「完封」の大見出しが名前の横に配置されたスポーツニッポン関西版一面 ©スポーツニッポン

 これからのプロ野球人生で、まだまだヒットも打つしだろうし、ホームランを叩き込む可能性も秘める。それでも、マウンド上で腕を振る姿こそが、秋山拓巳の原点であり、プレーヤーとして、最良の表現方法なのだ。

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