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時事芸人・プチ鹿島が考える“金正恩外交の完璧なフリとオチ”

アドリブ、自虐、持ちネタ……南北首脳会談を振り返る

2018/05/04

日経新聞が指摘する3つのネタパターン

 次の記事を読んでもらいたい。

「新世代の指導者 演出 ユーモアで『親しみ』狙う」(日経新聞 4月28日)

 この記事には期せずして金正恩氏のユーモアのパターンが3つ詰まっていたので紹介する。

(1)文(在寅)氏が初対面のあいさつで「私はいつごろ(境界線を)越えられますか?」と尋ねると、金氏が「じゃあいま越えてみますか」と提案した。

→当意即妙のアドリブ。

(2)2月の平昌冬季五輪で訪韓した北朝鮮の高官代表団が「韓国の高速鉄道をすばらしいと言っていた」ことも打ち明け「(文氏が)北朝鮮に来れば不便だろうから恥ずかしい」と韓国を持ち上げた。

→自虐ネタ。

(3)北朝鮮の核・ミサイル開発にも触れ「われわれのせいで国家安全保障会議(NSC)に出るなどしたため早起きが習慣になったでしょう」と陳謝。文氏が「これからは十分に寝たい」と返すと、「文大統領が徹夜しないですむようにします」と誓った。

→自分にしか言えないジョーク。

 どうだろう、近くて遠い「平壌冷麺」ネタにも負けないユーモア集ではないか。

「じゃあいま越えてみますか」という金氏のアドリブで、手を取り合って北朝鮮側に入った ©getty

 その政治的効果は、(1)は「金正恩氏は事前の予定にない文氏とのパフォーマンスによって、場の雰囲気を和ませようとしたよう」であり、(2)と(3)は「韓国を持ち上げた。」「友好ムードを印象づけた。」とある。カギカッコ内はすべて日経の記事に書かれている言葉だが、まるで「金正恩ユーモア」の解説のようでもある。

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