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「文春砲、ナメんなよ」

稲垣 太田さんはどう? 聞くところによると、27年ぶりの監督作らしいけど。

草彅 太田さんはもちろんバラエティー番組とかで昔から共演させていただいたことは何度もあったけど、監督と役者として仕事をするのは初めて。撮影前に絵コンテをいただいたのだけど、僕が見てきた監督史上、一番下手くそだった(笑)。

 でも太田さんは映画がすごくお好きな方なので、情熱や熱意が半端じゃない。カメラを回す前に全部太田さんが自分で演じて見せてくれるんだよね。

香取 全部? それはちょっと珍しいかも。

草彅 そう。だからその場面をどんなテンションで演じればいいのかが、すごく分かりやすかった。脚本も太田さんが書いているし、感情移入してセリフを言ってた。

 今作は僕の演じるオサムと妻の裕子(尾野真千子)が、亡くなった息子の影を追って日本中を奔走するという内容なのだけど、真千子ちゃんのパートも、もちろん太田さんが全部手取り足取りその都度演じて見せてくれて。けっこう大変だったと思う。でも、実際に太田さんが演出されると、脚本を読んで頭に描いていたのよりも、はるかにいいシーンになることばかりだった。

 あとロケ地も太田さん自身がすごくこだわって選んだみたい。関東近郊と沖縄で撮ったんだけど、埼玉のとにかく景色のいい公園だったり、周りには何もないような千葉のキャベツ畑だったり。

香取 太田さん、こだわりありそうだものね。妻の浮気相手を脅すシーンで、「文春砲、ナメんなよ」っていうセリフが台本にあったけど、それはそのままだった?

草彅 太田さんのブラックジョーク(笑)で、こだわりがあったのか、何テイクもやらされた。

香取 何にそんなにこだわっていたの?

草彅 言い方かな。実際に太田さん自身がセリフを言ってくれるんだけど、毎回微妙にちょっとずつ違うから、どうしたらいいのか分からなくて「監督、どれが正解なんですか?」って聞いたら、「いや、これはちょっとこだわっているから。芝居じゃなくて、普通の草彅君のつもりで言ってくれ」と言われた。あと「地図が読めない」というセリフもこだわっていたね。「新しい地図」を立ち上げたことに引っ掛けているんだけど(笑)。

稲垣 結構大変だったんだね。

草彅 そこまでこだわるの? という感じは正直した(笑)。

4月6日に行なわれた映画「クソ野郎と美しき世界」の完成披露初日舞台挨拶(109シネマズ二子玉川) ©文藝春秋

香取 太田さんが「文春砲、ナメんなよ」という言葉を、ジョークでさらっと言わせるだけでなく、けっこうこだわっているというのがいいよね。だから普段の太田さんもそうなのかもしれない。いつもテレビカメラの前では、パッと反射的なリアクションで、心の声を爆発させているのかと思っていたけれど、実はかなり考えて発言をしているんじゃないかな。

 吾郎ちゃんと剛君が出ている1話と3話の台本は読んだけれど、どんな撮影をしているのか分からなかったから、それぞれ監督のこだわりが分かって面白いなぁ。

稲垣 明日から撮影の、児玉監督の第4話には全員出るけど、撮影の入り時間はバラバラで、現場では会わないかもしれないね。

香取 撮影部分の新しい台本を貰ったばっかりなので、どんな感じになるのか僕らもさっぱりわからないね(笑)。

稲垣 児玉監督には以前、ミュージックビデオを撮っていただいたことがあるけれど、映画となるとどんな演出をされるのかな。

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