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日本には珍しいオムニバス

香取 3人で同じ映画に出るというのはこれまでなかったことだし、オムニバス映画で監督がそれぞれちがうというのも珍しいよね。僕よりも吾郎ちゃんは映画に詳しいから、撮影が始まる前に「同じ監督が短編映画を何本か撮って一つの作品にするというのはあるけれど、今回みたいな形はなかなかないよね」って言ったよね。

稲垣 海外だと見たことはあるけれど、日本ではあんまりないかな。昔は東宝や大映が作っていたけど。

草彅 一つの映画会社の中で作っている時代ね。

稲垣吾郎 ©文藝春秋

稲垣 そうそう。昔はそれぞれの映画会社に専属の映画監督、俳優、スタッフがいたから、複数の監督によるオムニバス映画が作れたんだろうね。

香取 何でいまの日本ではそういう企画が難しいのかなと思って、理由を考えてみたんだけど、映画ってよく「黒澤組」とか「北野組」とか言うけど、いまの時代、一作品にいくつもの組が参加するのは難しいからかもしれないね。

稲垣 確かにね。いまは映画監督は基本的にフリーランスで、その監督がフリーのカメラマンさんや照明さんとかスタッフを連れてきて、一つの組として映画を撮るシステムになっている。園さんだったら、スタッフもそうだけど、キャストも園さんの作品によく出演している方が多い。園さんの奥さんの神楽坂恵さんとか満島真之介さんとか。園子温とゆかいな仲間たち、みたいになっている。

香取 僕の話も、山内さんの舞台に出演している俳優さんがいっぱいいた。太田さんは?

草彅 太田さんは初めての人ばかりだと思う。

稲垣 お抱えのカメラマンさんとか撮影スタッフさんがいないものね。それは大変かも。

草彅剛 ©文藝春秋

草彅 でもとにかくエネルギーのある方なので、うまくまとめ上げていたよ。

稲垣 さすが。いまは昔のように何人もの映画監督を抱えて、言うことを聞かせる映画会社がないから、全員監督が違うオムニバス映画は、予算をはじめとして、色々な面で大変なのかもしれないね。

香取 監督もスタッフも違うと、映像のテイストも違ってくるからね。特に照明の色で大きく変わる。だから監督に「他の話と最後に何となく合わせるんですか?」って聞いたら、「合わせないよ」って言ってた。まったくカラーの違う作品が、そのまんま4つ繋がっていく形になるんだって。

草彅 一番大変なのはやっぱり4話目の児玉監督だよね。4話目には、今までの話が流れ込んできて、出演者も結集してくるから、3人の監督の話を最後にまとめなければいけない。

稲垣 第4話には第1話の回想シーンがあるんだけど、撮影は第1話の現場でやった。つまり園さんの現場で、園さんが撮り終わった同じ場所で、監督が児玉さんに替わって撮影をした。テレビドラマでは、1話目と2話目で監督が替わるということはよくあるから、現場で「このシーンからは、2話目の監督で撮ります」ということはあるけれど、映画でそんなことはなかなかない。さらに園さんの撮影時間がかなり押してしまったので、児玉さんは終わりの時間が決められている上に短時間で撮らなければならず、もっと大変だった(笑)。

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