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藤吉 雅春
2018/05/14

日本一儲かっている信金「西武信用金庫」はなぜ成功できたか

同業他社との競争ではない、新しい戦術とは

 ライバルの存在は、腕を磨き、人間を成長させる。会社も同じだ。価格競争や技術の差別化で、同業他社と競いあってきた。

 しかし、剣術を磨き続けた2人が決闘する時、舞台は巌流島のはずが、実は温暖化現象で溶け始めた北極の氷の上だったら――。二刀流などと呑気なことを言っている場合ではない。

©近藤俊哉/文藝春秋

自殺者が急増した1998年に何が起こったのか

 1998年、日本人の自殺者数が、突然、激増した。それまで2万人台前半を推移していたのに、いきなり3万2863人に跳ね上がり、以後、14年もの間、3万人を割ることはなかった。「貸し渋り」「貸し剥がし」という言葉が盛んに言われるようになり、企業は銀行からカネを借りるのではなく、内部調達にシフトしていく。企業が投資超過から貯蓄超過に数字を逆転させた年が98年だった。内部調達によって影響を受けたのが、給料だ。98年から雇用者報酬の伸び率がマイナスに転じた。

 低賃金、非正規雇用といった問題が始まると、「結婚しない理由」「子供を産まない理由」というアンケートで、「カネがない」「カネがかかる」という答えが上位に登場するようになるのだ。

警視庁「自殺統計」より厚生労働省自殺対策推進室作成の資料をもとに再構成

 つまり、1998年は国民のマインドがガラッと変わるほど、未来に希望が見えない時代に突入した年と言えるだろう。自殺の主な原因は、健康上の理由、経済上の理由、人間関係である。「絶望」のマインドが自殺を増やしたと推測できる。