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大叔父・佐藤栄作の奇策「黒い霧解散」再来はあるか

3選に向けてなりふりかまわぬ安倍に物申した2人の人物と創価学会の変化

2018/05/21

 4月21日、土曜日。首相の安倍晋三は自らが主催する毎年恒例の「桜を見る会」を、今年も新宿御苑で開催した。快晴で、都内の気温は26度まで上昇。すでに桜は散っていたが、桜の花をイメージさせるピンク色のネクタイを身につけた安倍は、タレントの梅沢富美男やピコ太郎、将棋の元名人・加藤一二三、平昌五輪スピードスケートで金、銀、銅メダルを獲得した高木美帆ら各界著名人や旬のスター、約1万7000人を前に挨拶に立つと、こう言って殊勝に頭を下げた。

「行政に対する信頼を揺るがす事態となっている。国民の皆様に改めてお詫び申し上げたい。膿を出しきって組織を立て直していく」

「桜を見る会」で招待客らと写真に納まる安倍晋三首相(中央) ©時事通信社

 実はこの日、メディアにどう扱われるかを官邸サイドが心配していた招待客がいた。小川えり。6年連続、東海地区でナンバーワンの人気を誇る名古屋の現役キャバクラ嬢だ。2日間で1億円超の驚異的な売り上げを果たしたこともある斯界の有名人なのは事実だが、誰が推薦したのか、「キャバ嬢では史上初めて」(関係者)同会に招かれた。前財務次官の福田淳一が、一連のセクハラ騒動の最中に「時には女性が接客をしているお店で言葉遊びを楽しむようなことはある」とコメントし、世間の激しい批判にさらされた直後だけに、官邸筋からは「よりによってこんなタイミングで」という懸念の声が漏れた。

 しかし小川は同会終了後、「(事前に)沢山の報道メディアに出させてもらい想像以上に話題が大きくなりすぎて色んな方達に迷惑がかかると思った為、時間をずらして行きました」と自らのインスタグラムで告白。首相との接触を避けたのは自発的「忖度」か、官邸サイドの「指示」か……真相は不明だが、写真に一緒に写ることもなく、安倍周辺は安堵したという。

「勝つためにはあらゆることをする」と公言

 折しもこの日、北朝鮮は核実験、大陸間弾道ミサイル発射実験の即時中止と核実験場の廃棄などを一方的に宣言。安倍は「前向きな動きを歓迎する」と努めて冷静さを装ったが、内政、外交ともに問題山積で前途は多難だ。

 そんな中、安倍の最優先事項は無論、9月の自民党総裁選への対応である。しばしば周囲に「勝つためにはあらゆることをする」と公言し、布石を次々と打ち始めている。

2012年自民党総裁選挙 ©文藝春秋

 前日の4月20日。東京・芝公園のザ・プリンス パークタワー東京で、自民党所属の都道府県議会議員と政令指定都市の市議会議員の代表者を対象にした研修会が開かれた。3部構成の研修会では憲法改正に関する議論を中心に、働き方改革、生産性革命・人づくり革命、地方創生、外交・安全保障などの政策テーマごとに分科会が開催された。メディアには非公開。冒頭の挨拶で、「メディアにICレコーダーを渡されて頼まれても、録音してあげることなどないようにしてください」と保秘を徹底したのは、安倍側近の自民党幹事長代行・萩生田光一である。彼が中心となり、総裁選戦略の1つとして年明けから準備してきたこの会に、日米首脳会談後、帰国したその足で安倍も駆け付け、講演を行った。

 政府の相次ぐ不祥事を陳謝するとともに、安倍は「地方の声を聞かせて欲しい」と繰り返し、地方議員の意見に耳を傾ける姿勢もアピール、来年4月の統一地方選に向けた結束を訴えた。

 総裁選では地方票の行方が勝敗を大きく左右する。世論の反発が強い森友・加計問題の対処のために、安倍の“お友達”評論家の小川榮太郎が著した『徹底検証「森友・加計事件」 ――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪――』が約800人の出席者全員に配布され、自民党法曹団代表の弁護士、橋爪雄彦が「森友学園問題に昭恵夫人は関係していない」などと主張する解説まで行う念の入れようだ。

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