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「セクハラ事務次官」スクープが問う、政治を伝えるおっさんの常識

旬選ジャーナル 目利きが選ぶ一押しニュース

2018/05/11

〈ろくでもない「財務事務次官」のセクハラ音源〉週刊新潮4月19日号

 東京の官庁街に程近い繁華街のバーでは、仕事を終えた若い記者たちが夜な夜なこんな雑談を繰り返している。

「ホント、あの局長、毎晩電話かけてきて、めっちゃウザいんだけど」

「でも、邪険には扱えないしねえ」

「『オレから記者に電話してあげるのは珍しいよ。わかってる?』なんて、恩着せがましく言ってきて。超ムカつく」

「そこまで幹部に食い込めて羨ましいよ。特ダネ、もらっちゃえ」

「あ。また電話。ふぅ……。外で話してくるから、ちょっとごめん」

「ああ、いいよ。ちゃんと仕事して」

 永田町を遠巻きに眺めている私も、彼らと同じ店に居合わせることがたまにある。そのせいか、霞が関の事情には疎いはずが、「悪名」に聞き覚えがあった。

 福田淳一・財務事務次官。官庁の中の官庁における、エリート中のエリートが、平成末期に「渦中の人」となった。

「浮気しようね」「おっぱい触っていい?」「手しばっていい?」……。

 文藝春秋の誌面で紹介するのも憚られる卑猥な肉声が、幾度もテレビで流れた。中には社説で引用した全国紙もあった。

公文書改竄、セクハラ問題に揺れる財務省 ©iStock.com

 事務方ナンバー2の国税庁長官が文書改竄なら、ナンバー1はセクハラ。財務省、否、日本の中枢はとろけている。

 配信元のニッポンを代表するおっさん雑誌・週刊新潮は、奇しくも行き場のないセクハラ被害者の駆け込み寺となった。長らく「文春砲」の後塵を拝していた新潮ジャーナリズムを久々に見直した。

 告発したテレビ朝日の女性記者には拍手を送りたい。彼女の勇気が「病める財務省」の実態を詳らかにしただけでなく、女性たちにとって、政界取材の現場がいかに時代錯誤で、理不尽な労働環境であるかを白日の下に晒したからだ。

 時代の転換点を見る思いがした。

 なぜ、彼女はテレ朝で報じられなかったのか。なぜ女性に「セクハラ次官」を担当させ、2人きりの深夜取材を認めていたのか。新潮の続報を読んでも腑に落ちない点を考えていると、マスコミが抱える「不都合な真実」が思い浮かんだ。