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連載近田春夫の考えるヒット

パピロジェとYamakatsuを聴きつつ、アイドルの未来を考えた――近田春夫の考えるヒット

2018/05/16

『Re:bellion』(パピロジェ)/『distopia』(Yamakatsu)

絵=安斎肇

 いつからなのかはともかく、この国の実態が、まさに男女問わずアイドルというもの、すべからく団体であるべし!的な様相を呈するに至って以来久しいことに間違いはなく、更にはそれがますます不動の傾向というか、あれよあれよの増殖や拡散の結果、もはや揺るぎなき眺めとなってしまった風にも映る昨今の我が音楽シーンだが、かかる状況の今後の推移についていわゆる“芸能界評論家”のお歴々はどのような言及/予測をされておられるのか?

 とかなんとか偉そーなこといってますけどね、何を隠そう、俺には経験上自信をもって断言出来ることがちゃんとあるのよ、実は。

 それは、音楽商売に限っては、歴史は繰り返さない(他業種はわかんない)。一方向にしか進まぬってことだ。

 なのでこの先――かつてのように――可愛さだけがうりの、ソロの少年少女たちが活き活きと跋扈(ばっこ)するといった事態は(多少の揺り戻し的な動きはあるかも知れぬにせよ)、もう決して起こらないのではないかと俺は思うのだ。あの昭和のTV歌番組全盛期のような景色を、我々がふたたび見ることはおそらく百パーセントないだろう。

 では“グループ”を一瞬にして過去のものにしてしまうような、次のアイドルの形態とは一体何なのか?

 結論から申せば、そんなものねーよ。ないと思う。少なくとも俺には考えつかない。

 てな訳で、なんにせよこれからまだまだアイドルのグループは増え続けていくというのが俺の見立てだが、かといってグループにも終焉の時は必ずくる。述べてきた文脈に従えば、それはアイドルの終焉を意味することでもある。

 いつの話かはわからないが、遅かれ早かれ人々が音楽にアイドルなど必要としなくなる日は来るのではないか?

Re:bellion/パピロジェ(twelve inc.)福岡県拠点。蝶(papillon)と薔薇(rosier)で“パピロジェ”。オリコンデイリー2位を獲得。

 ところで、今回編集から送られてきたのは、九州と中国地方でそれぞれ地元を中心に活動をする女子グループの最新シングルだった。両者を聴き比べて驚いたのは、例えば好みのシンセ音色であるとか、作り込みの技巧的なアピールであるとか、とにかく“打ち込み”へのこだわりや志向がビックリするほど似ていたことである。

 そして、二作とも、正体を知らずに聴けば、たとえばハロプロ、あるいはAKB関連。どちらかに属するとしか思えぬ東京風な仕上がりで、サウンド/ミックスにはまったくそれぞれのローカルを思わせる特徴的な部分がない。

 ついでに申せば、そもそもハロプロとAKB系の音自体、どんどん見分けがつけにくくなってきているのも事実で、地方も中央もアイドルグループの商品は、恐ろしい勢いで均質化に拍車がかかっているのかも? とか思ってしまった。うーむ。こりゃ全国的に女子アイドルグループ界、かなりエントロピーが増大してるってことなのかなぁ?

distopia/Yamakatsu(Fujiyama Project Japan) MADE BY YAMAGUCHIを掲げる山口県アイドル。オリコンデイリー6位。

 それにしても地方アイドルグループのお給料ってどんなもんなんすかね? 知りたい。

今週のつまみ方「最近、電子タバコを嗜んでいる人を街なかで見かけることが増えてきたね。でさ、普通の紙タバコって、人差指と中指で軽くつまんで吸っている人が大半なんだけど、電子タバコは、みな飴の棒やホイッスルを持つみたいにしっかり握って吸っているよね」と近田春夫氏。「この違いはどうしてか、気にならない? 誰か考察してくれないかな」