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森岡 英樹
2016/02/26

個人消費不振
ユニクロも低価格へ回帰

source : 週刊文春 2016年3月3日号

genre : ビジネス, 企業, 経済

デフレ時代の勝ち組だったが…
Photo:Kyodo

 昨年10~12月期の実質GDP(国内総生産)が前期比1.4%減(年率・速報値)と、2四半期ぶりにマイナス成長に転落した。主因はGDPの約6割を占める個人消費の落ち込み。その理由を、石原伸晃経済再生相は「記録的な暖冬により冬物衣料品などが大きく落ち込んだ」とするが、メガバンク幹部は景気の先行きに懸念を強めている。

「個人消費の体温計とも言えるアパレル業界は、いまや要注意の取引先です」

 信用情報機関の東京商工リサーチの調査によれば、昨年のアパレル販売業の倒産は2年連続で前年を上回った。

“アパレル不振”の象徴が、ユニクロを展開するファーストリテイリング(FR)だ。昨年8月に6万円を超えていた株価は、半値の3万円近くまで下落。直近の昨年9~11月期決算は、純利益が3割減(前年同期比)の480億円まで縮小した。

 業界大手のワールドも2期連続の最終赤字に転落し、「複数の主力ブランドの売却に動いており、しまむらへの売却話が取り沙汰されている」(同前)ほか、昨年6月にバーバリーとのライセンス契約が終了した三陽商会は16年12月期に20億円の営業赤字が見込まれ、オンワードも大幅な減益を余儀なくされている。ユニクロ関係者が語る。

「ユニクロでは、値段が高く、利幅の大きい冬物を売る11、12月が、前年比で1割前後の売上減だった。主因は暖冬より値上げでしょう。ユニクロは、2年連続で値上げしたが、客離れを起こしてしまった。その証拠に、1月に半額セールを行ったところ、客が押し寄せ飛ぶように売れた」

 昨年4月に、値上げの影響について「ないと思う」と語っていた柳井正FR社長も方針転換を検討しているという。

「最近、『プライスリーダーシップを取り戻す』と社内で発言するようになった。値引きではなく、最初から低価格で売っていくようです。実際、店舗では上代(じょうだい)(定価)を値下げした春夏物商品も少なくない」(前出・ユニクロ関係者)

 個人消費の弱さを前出のメガバンク幹部はこう分析する。

「賃金が上がらず、将来不安から個人消費は弱い。だから、日銀が金融緩和しても、思い通りに物価は上がらない」

 マイナスなのは、金利だけではなさそうだ。

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