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1000人以上にがんを告知した医師も「セカンドオピニオンをすすめます」

森山紀之医師インタビュー #2

2018/05/29
note

治療の信頼性は「ピラミッド」構造

──セカンドオピニオンを受ける時に気をつけることはありますか?

森山 専門分野の医師の意見を聞くこと、それとできるだけ公平な意見を述べてくれるところを選ぶことです。がんの場合は、原則として各都道府県に1カ所、都道府県内で中心的役割を果たすよう厚生労働大臣が指定した「がん診療連携拠点病院」があります。よく、名医と言われる医師や、その病気の権威といわれる医師に診てもらっているからセカンドオピニオンは必要ないという方がいらっしゃいますが、私はそういう方こそセカンドオピニオンを受けた方がいいと思っています。

──名医や権威ある医師が主治医なら、セカンドオピニオンは必要ないのでは?

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森山 治療の信頼性って、ピラミッドのようになっているんです。一番上がデータに基づいた科学的根拠で、一番下がクチコミや噂。そして真ん中が実は「権威」なんです。いくらその分野の権威でも、ある程度年齢がいっていると、医学的に遅れている場合もあります。たとえば政治家の言うことが必ずしも正しいわけではないでしょ? あれと同じなんですよ。

 それにセカンドオピニオンの外来をやっている医師は常に勉強していますから、最新のデータもしっかりふまえて診察してくれます。そういう医師に意見を聞くことは、とても意義があると私は思っています。

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──ただ、誰に意見を聞いても「正解」があるわけではありませんよね。

森山 私がおすすめしているのは、まず自分ががん治療に求めるものをあげ、それに優先順位をつけることです。それができたら、次にそれぞれの治療法のメリットとデメリットをあげ、「自分が何を優先させたいか」に照らし合わせながら治療法を選ぶことです。

「とにかく長生きしたい」「多少余命が短くなっても生活の質を低下させたくない」「痛みを取り除きたい」など、自分にとっての優先順位を見据えることができれば、それぞれの治療法のメリット・デメリットを冷静に検討できるのではないかと思います。