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連載近田春夫の考えるヒット

崎山つばさ J-popに和楽器の組み合わせの今後に注目だ――近田春夫の考えるヒット

2018/05/23

『螺旋』(崎山つばさ with 桜men)/『ODD FUTURE』(UVERworld)

絵=安斎肇

 毎週毎週、このページのために編集から送られてくる資料の中には、初耳というか名前も顔もそれまでまったく知らなかったなんていう人の作品も結構入っていたりする訳で、今週届いた崎山つばさの『螺旋』なども、まさにそうした一曲であった。

 ということで、どういった歌い手なのか皆目見当もつかぬこの俺だったが、幸いなことには映像付きがただでupされていた。そこでとりあえずチェックを始めるとどうやらバンド、桜menを従えてのパフォーマンスのようだ。

 さて、その演奏者達の視覚的第一印象である。これがもろに先ごろ取り上げたこともある和楽器バンドのそれだった。楽器編成しかり、コスチュームの方向性といい、ボーっと観ていたら俺なんかには見分けがつかないぐらいかも。

 おっと、誤解されるといけないので先に断っておく。これは決して否定的な感想を述べようとか、そういった趣旨の話ではない。実はひとつ思うことがあったのだ。

螺旋/崎山つばさ with 桜men(avex)ミュージカル『刀剣乱舞』で一躍脚光を浴びたイケメン俳優。桜menと組む和風テイストの第2弾。

 60年代。グループサウンズに相当傾倒していた十代だった私に、まわりの大人たちは、GSは全部同じに見えるとよくいったものだ。この歳になって振り返れば、エレキギターを小脇に抱えたミリタリールックの衣装からマッシュルームカットのヘアスタイルに至るまで、なるほど当時の大人たちにはどのバンドの佇まいも区別がつかなかった、というのもよく理解出来る。

 つまりそれは、興味のない人間には細かい違いなどを見つけるのが難しい、ひとつの“スタイル”であったのだ。というような意味で、昨今のjpop界においては、和楽器を取り入れたなにかしらのバンドのスタイルが確立し始めているのではないか。いい換えるなら、この桜menみたいな“よさこい的出で立ち”で且つ和洋混合の楽器編成という音楽集団はもっと増える可能性もあるのでは? ということを思ったのである。

 そういえば最近は、太鼓や三味線などの和楽器を趣味としてたしなむ人間が、老若男女問わず、かつてよりは増えてきているような気がしないでもない。述べてきたような傾向の下地はあるといって、あながち超無謀な議論でもないだろう。

 と、まぁそんなことを考えながら聴いていた『螺旋』なのだったが、その和な味わいをブーストする音響的要素を心のなかでミュートしてしまえば、歌のメロディとか案外普通にjpopじゃんさねぇなどと思いつつ、しかしこういったサウンドの源流はどこなのか? 何か前からあった気もするのだが……あっそうだ。コレ、元をたどればTVの時代劇の音楽の構造なのかも?

 ところで遅ればせながら調べてみたら、崎山つばさという人は役者であった。そっち方面に関しては、俺マジで暗いんだよね〜。失礼しやした。

ODD FUTURE/UVERworld(SONY)滋賀県出身のメンバーで結成。2005年メジャーデビュー。本作で32枚目のシングル。

 UVERworld。

 サウンドプロダクションの持つある種のトンガリと、歌詞の妙に真面目で純情な、その対比が聴きどころかと。

今週の告知「5月19日(土)、20日(日)に横浜赤レンガ倉庫1号館で、“横浜ロックレジェンド”というイベントの司会をやるよ。19日の回には頭脳警察のライブレコーディングもあるけど、そこでオレも2曲キーボード弾くことになってます」と近田春夫氏。「ほかにも町田康とかザ・ゴールデン・カップスなど多数出演。ぜひ足をお運びいただければ!」

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