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連載池上彰「WEB 悪魔の辞典」

池上さんが「霞ヶ関トップ・事務次官の歪んだエリート意識」を考える

池上さんが「霞ヶ関トップ・事務次官の歪んだエリート意識」を考える

じむじかん【事務次官】――池上彰「WEB 悪魔の辞典」

2018/05/23

 池上彰さんの新連載「WEB 悪魔の辞典」では、政治や時事問題に関する用語を池上さん流の鋭い風刺を交えて解説します!

【事務次官・じむじかん】 

世の中で一番偉いのだからツベコベ言うなと思っている過去完了(官僚)。

【池上さんの解説】

 霞が関のキャリア官僚のトップが事務次官。トップなのに「次官」というのは、大臣が一番偉く、その次という建前から。

 実際には事務次官になると、「大臣をどのようにコントロールして官僚たちのやりたいことを実現させるか」という振り付けを考えるようになる。

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 その際には、「大臣のおっしゃる通りでございます」「さすが大臣、慧眼でございます」などと持ち上げながら、「ご案内のように、省としましては、こういう方向性で進みたいと考えております。つきましては、大臣のご尽力におすがり致します」などとさらに持ち上げる。内心、「豚もおだてりゃ木に登る」などと思いながら。

 国家公務員Ⅰ種試験(現在の名称は、総合職試験)に合格してエリート街道を歩むキャリア官僚は、当初は同期入省のメンバーが揃って出世していくが、やがてひとりずつ脱落し、局長まで上るのは通常2人。そのうちのどちらかが次官の座を射止める。

福田淳一前財務次官

 こうなると、自他ともに認める「エリート中のエリート」だが、歪んだエリート意識を持ってしまう人物がいるのが残念。これでは過去完了ならぬ「過去官僚」だ。中には「国家のため、国民のため」と思い詰めている人材もいるのだが。

池上彰「WEB悪魔の辞典」のコーナーでは、池上さんの解説を聞いてみたい新用語を募集しています!

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