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強行採決が懸念される「働き方改革」法案 過労死にまつわる問題発言

過労死したNHK女性記者の母「死人は増えても過労死は減るという事態に」

2018/05/19
note

土屋喜久 厚労省・審議官
「個別の事案は答えられない」
「個人情報保護の観点から回答を差し控える」

毎日新聞 3月11日

 野党は厚労省幹部からヒアリングを行い、過労死についていつ加藤厚労相に報告したかを質問したが、土屋喜久審議官はゼロ回答を連発した。加藤厚労相は3月9日の会見で「詳細について申し上げるのは差し控えたい」と語るのみだった。

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勝田智明 厚労省・東京労働局局長
「何なら、皆さんの会社に行って、是正勧告してもいいんだけど」

朝日新聞デジタル 3月5日

 そんな中、厚生労働省東京労働局の勝田智明局長が失言を繰り返して更迭された。3月30日の定例記者会見に出席した勝田氏は、特別指導の経緯についての記者の質問に「ノーコメント」を連発したが、それでも食い下がる記者に対して「何なら、皆さんの会社に行って、是正勧告してもいいんだけど」と言い放った。どういう意味かと問われると、「多くのマスコミでも違反がないわけではないのでね」。産経新聞は勝田氏の発言を「恫喝」と強い調子で批判している。

衆院厚労委員会で大西健介議員の質問に自身の発言を謝罪する厚労省の勝田局長

 また、勝田局長は、昨年12月1日の定例記者会見で「次回はプレゼントがある」と発言。同月26日の会見で「プレゼントの中身は」と質問した記者に対し「プレゼントもう行く? じゃ、やろっか」「プレゼントというほどいい話じゃないんですけど」と発言しながら野村不動産を特別指導したことを発表。過労死遺族から「人の死の重みを認識していない」と反発を受けていた。

 加藤厚労相は勝田局長の更迭を発表。労働行政に対し国民の信頼を著しく損ねたとして、減給10分の1(3カ月)の懲戒処分にし、厚労省の大臣官房付に降格した。

 こんな状態で政府は本当に「働き方改革関連法案」を強行採決するつもりなのだろうか? 「全国過労死を考える家族の会」は安倍首相との面会を申し込んでいるという。来週の国会に注目したい。

強行採決が懸念される「働き方改革」法案 過労死にまつわる問題発言

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