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ドゥテルテ大統領
暴言封印の両天秤外交で得た“果実”

source : 週刊文春 2016年11月10日号

genre : ニュース, 政治, 経済, 国際

10月26日の安倍首相との会談
Photo:Kyodo

「大統領の印象は、(暴言など)報じられているような威圧的な人ではなく、会合は終始なごやかなムードで、当初予定していた約25分間をオーバーして1時間弱も行われました」(超党派の議員らで作る『日本・フィリピン友好議員連盟』幹事長を務める笠浩史衆議院議員)

 10月25日から3日間の予定で来日したフィリピンのドゥテルテ大統領(71)。到着直後に行われた在日フィリピン人コミュニティ対象の講演会には、1000人以上の在日フィリピン人が詰めかけた。

「大統領が壇上に現れると、“ドゥテルテコール”が湧きおこり、まるでロックコンサートのようでした。講演では自身が推し進める麻薬撲滅運動を批判するアメリカやEUに対し、『このバカどもは何も分かっていない』と、“ドゥテルテ節”を披露し、聴衆から拍手喝采を受けました」(全国紙政治部記者)

 講演後は会場に入りきれなかった在日同胞たちとの写真撮影などに応じたこともあってか、次に予定されていた高級料亭「吉兆」における岸田文雄外務大臣との会食には15分遅刻。料亭の前で岸田大臣が傘を持って到着を待ち構えるといった一幕もあった。

「会食では南シナ海問題や訪日前に訪れた中国でのアメリカとの『決別発言』などについて話し合われたようです。大好きな和食に、大統領は終始上機嫌で、『よかったら来月も日本に呼んでくれ。そうでなければ(岸田外務大臣を)招きたい』などとも話したそうです」(同前)

 翌26日には冒頭の会合に出席し、「中国に行ったのは経済的な理由からだけだ。(南シナ海問題については)今後は国際法にのっとって対応していく」などと発言。この日の安倍晋三首相との会談でも、「時がくれば日本の側に立つ」と明言し、約214億円の円借款や大型巡視船の供与などを取り付けた。

「中国では南シナ海問題を棚上げすることで2兆5000億円規模の経済支援を引き出しています。発言の一貫性よりも、大国を天秤にかけて“実”をとることを重視するドゥテルテ大統領の外交戦略は今のところ成功していると言えます」(前出・政治部記者)

 日本から帰国後は、“神のお告げ”で「もう暴言は吐かない」と宣言。よほど満足のいく“果実”を得たようだ。

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