昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載THIS WEEK

挙式費用は48億円、ドレスはジバンシィ……“型破り”なメーガン妃結婚式の舞台裏

2018/05/28

 5月19日、英王位継承順位6位のヘンリー王子(33)と米人気女優メーガン妃(36)の結婚式には12万人がお祝いに集まり、世界中で数十億人が視聴した。とりわけ米国での関心は高く、米大手TV局のNBCはファストフード店屋上に特設ステージをつくり、英TV局をして「(あれには)50万ポンド(約7500万円)必要」と悔しがらせた。ある試算によると、挙式費用は総額3200万ポンド(約47億8000万円)と、何から何まで“型破り”だった。

 筆者は朝まだきに現地入りし、ウィンザー城に入るロングウォーク沿いに陣取った。9時間後に目にしたメーガン妃のウェディングドレス姿は新緑と日差しの中でまぶしい輝きを放った。これほどのページェント(野外劇)を完璧に演出できる国は英国をおいて他にあるまい。ちなみにドレスは“掟破り”のフランス・ブランド、ジバンシィの作品。絹のベールには英連邦53カ国の花が刺繍され、大英帝国の栄光をしのばせた。

花嫁が馬車の左に座るのは“レアケース” ©木村正人

 白人支配の頂点にあった英王族と、アフリカ系の母親を持つ「奴隷の子孫」の結婚。

 結婚式に込められたメッセージは「愛の力」(故キング牧師)で人種や文化、ジェンダーの違いを乗り越えようということだ。筆者は、黒人聖歌隊による「スタンド・バイ・ミー」のゴスペルに思わず落涙してしまった。

 一方でこの結婚に対して、面白くないと反発し、また何も感じなかった人も少なくなかっただろう。確かに、奴隷解放と公民権運動を前面に出す結婚式に違和感がなかったと言えばウソになる。心臓発作を理由に出席を取りやめたメーガン妃の父親方の異母兄姉からの破廉恥な口先介入は、皮肉にも「衰退していくホワイト」を際立たせた。

 だが、これに対し英王室は、高齢で公務から退き欠席と発表されていたフィリップ殿下が出席し、バージンロードはチャールズ皇太子がメーガン妃をエスコートした。

「サンキュー、パ(お父さん)」というヘンリー王子の言葉は、破滅的なリスクを伴う結婚を英王室が全面支援するとの意思の表れでもある。

 結婚が悲劇に終わる可能性もゼロではない。それでもあの場に立ち会った一人として、愛が永遠に続くことを筆者は願う。