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麻薬取り締まりの両雄 “マトリ”伝説の捜査官が宿敵“組対五課”に逮捕されたワケ

source : 週刊文春 2016年12月22日号

genre : ニュース, 社会

高樹沙耶逮捕など活躍のマトリだったが…
Photo:Kyodo

 同じ獲物を追う竜虎の関係が、いつの間にか互いを殺し合うハブとマングースの関係に変質したというべきか。国内の麻薬取り締まりの両雄の一端をもって自任する厚労省関東信越厚生局麻薬取締部、通称「マトリ」の麻薬取締官・奥村憲博容疑者(46)が12月8日、もう一方の雄、警視庁組織犯罪対策五課に虚偽有印公文書作成・同行使容疑で逮捕された。「優秀な男だったが……」とマトリも寝耳に水の逮捕劇だった。

「奥村容疑者には、事情聴取をした男(50)の供述調書の内容を勝手に変えて裁判所に提出し、捜査対象の別の人物の携帯電話履歴を無理やり取得した疑いがあります。この事件のミソは、調書を偽造された男が奥村容疑者の捜査協力者である一方で、警視庁組対五課が9月に覚醒剤約378グラムの所持で逮捕した容疑者でもあった、という点です」(全国紙社会部記者)

 マトリは全国に8カ所、約300人が在籍する厚労省所管の麻薬取り締まりの専門機関。警察官ではないが、特別司法警察員として、家宅捜索や逮捕、麻薬の買い受け捜査が認められている。最近では元女優の高樹沙耶被告(53)、過去には小向美奈子や高知東生、ポール・マッカートニーらを逮捕するなど、話題性のある事件を手がけてきた。

 一方の組対五課は全国警察のなかでも圧倒的な200人弱の人員を誇る銃器・薬物捜査の専門部隊。大型密輸事件や近年では清原和博、ASKAなどを逮捕してきた。

「捜査対象がカブることも多く、昔は互いの捜査情報をリークして潰し合うほどの犬猿の仲でした。が、現在はマトリと警察庁の人事交流など、協力関係が進んでいたのです。逮捕は意外でした」(同前)

 マトリは今年、大阪で覚醒剤密売の元締めの男を逮捕するなど密売事件でも活躍。関係者によると奥村容疑者は身長190センチ、茶髪のイケメンで、独自の人脈で国際潜入捜査などを手がける“伝説の捜査官”として知られていた。警察関係者が明かす。

「協力者の男は香港からの覚醒剤密輸事件で五課の捜査線上に浮上し、奥村と頻繁にやりとりしていたことが発覚した。買い受け捜査などギリギリを攻めるマトリの捜査手法に文句はないが、密輸の見逃しがあったとすればアウトだ」

 犬猿の仲に逆戻りか。

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