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古巣阪神と対決? 西武・榎田大樹が「良いトレードだった」と証明するとき

文春野球コラム ペナントレース2018 テーマ「トレード」

2018/06/01

 5月29日からセ・パ交流戦が始まった。毎年、この時期を心待ちにしているのが、トレードなどで違うリーグへ移籍した選手だろう。西武では、榎田大樹投手がその1人だ。3月14日、岡本洋介投手との交換トレードで入団したが、古巣・阪神との直接対決が、早くも実現しそうだ。

 4月12日に移籍後初の一軍昇格、初先発。2013年7月17日vs巨人戦以来、1730日ぶりとなる先発白星を挙げると、以後、先発ローテーション入りを果たし、ここまで7試合6先発、4勝1敗、防御率2.33と、安定した投球を続けている(5月31日終了時点)。先発投手というポジションから、ローテーションの巡り合わせで、カードが合わない場合も少なくないが、今回は6月1日から3日の金土日の3連戦。榎田投手は、5月に先発した4試合、すべて日曜日に登板しており、このまま普通にいけば、古巣対決が叶う可能性が高い。

阪神時代の13年に記録したキャリアハイの4勝に早くも並んでいる榎田大樹 ©上岡真里江

「良いトレードだった」と証明するために

 7年間身を尽くしてきたチームだけに、「投げたいという気持ちももちろんありますが、やっぱり、阪神のみんなには、癖とか、僕のすべてを知られていると思う」と、少々の不安が頭をよぎるというが、それでも、はるかに喜びの方が強い。

「まず、当たれる可能性があるところに今僕がいられていることが、すごくありがたいです。それに、周りからしたら、“古巣対決”というのは、プロ野球の1つの楽しみであり、面白い部分でもあると思うので、そういう場に立てるのであれば、僕だけではなく、ファンの方も楽しみだと思う。チャンスがあれば、投げられればいいなと思います」

 まだ確定とは言い切れないだけに期待ばかりが一人歩きするが、一ファンとして、ぜひとも果敢な虎狩りを見てみたい。

 入団会見の席で、榎田投手はこう語っていた。

「このトレードが、自分自身にとっても、また、獲ってくれた西武、出してくれた阪神にとっても、『良いトレードだった』と思えるように結果を残していけたらと思います」

 もちろん、この最終的な答えは、シーズン終了後、もっと言えば、プロ野球生活終了時、更には人生をかけて導き出されるものなのだろう。だが、ひとまず、約3ヶ月という現時点での答えを示せるという意味では、最高の場となることは間違いない。

 先発ローテーションの一角として一軍の試合で活躍している姿を見せられることは、育ててくれた阪神に対する恩返しの1つの形となるだろう。また、好投し、チームの勝利に貢献することで、期待してくれている西武への最高の感謝となる。「まだ3ヶ月も経ってないの? と思うぐらい。阪神での7年間に近いぐらい、馴染めている。受け入れてくれた仲間に感謝です」と、すでにチームメイトとも非常に打ち解けた。2013年に記録したキャリアハイの4勝に早くも並んでいる成績とあわせ、自身にとっても充実の時を過ごしている。ぜひ、周りにとっても、自身にとっても「良いトレードだった」と、今の時点で言える状況であることを証明してほしい。