2018年3月21日、「農業アイドル」として愛媛県を中心に活動していた「愛の葉Girls」の大本萌景(おおもと・ほのか)さんが自死する、という事件が起きました。16歳という若い女性が亡くなった、大変痛ましいものであり、遺族の皆様の心情は察するに余りあります。萌景さんのご冥福を心からお祈りします。
大本萌景さんの記事を読んで
今年5月、萌景さんのお母様の告白文が文春オンラインで公表されました【母親が告白 農業アイドルだった大本萌景さん(16)は、なぜ自殺しなければならなかったのか】。
お母様の告白を読む限り、萌景さんは、学業との両立ができなかったという点、アイドルを辞めるという決断をしたときに損害賠償を請求されたという点を悲観し、自死まで追い込まれてしまったものではないかと推測されます。
学業との両立の件について、萌景さんは事務所スタッフに対して迷いを相談していますが、その時にスタッフから返ってきた答えは、萌景さんをさらに追い詰めるものでした。本来、芸能事務所は、所属しているアイドルの公私を含めたサポートを行い、芸能活動に支障が出ないような体制を整えるべきです。しかし、このスタッフの対応は、芸能活動を盾に、学業を犠牲にすることを強いるものであり、萌景さんの人権をないがしろにするものだと思います。
また、損害賠償金の請求については、詳細は後述しますが、アイドルの移籍や契約解除、不祥事の際に問題になることが多いものです。
事務所側は否定しておりますが、萌景さんは、事務所の社長から1億円を払うようにと言われたとのことです。この1億円が何を根拠にしたものか分かりませんが、グループを半年後に卒業し、高校に行くということをきめた時点でなされた電話でのやりとりですから、恐らく、「愛の葉Girls」を辞めようとしていることに対してなされた発言かと思われます。損害賠償請求を匂わせ、脱退を思いとどまらせようとすることは、萌景さんの脱退の意思を封殺するものであり、16歳であった萌景さんには、非常に大きな精神的負担だったろうと思います。
LINEでの萌景さんと事務所スタッフとのやり取りを見ると、かなり高圧的な口調ですので、社長も電話において同様の口調で萌景さんを責め立てたのではないかと思います。信頼していたスタッフや社長に相談したところ、そのような口調で責め立てられたのだとしたら、その絶望感は大きかったでしょう。
亡くなられた当日、萌景さんはお母さんに「社長には会いたくない」と伝えており、社長の言葉がきっかけとなり、萌景さんが自死に追い込まれた可能性は高いと考えます。LINEのやりとりや電話でなされた会話の内容にもよると思いますが、パワハラなどの、何らかの法的責任が発生する可能性は否定できません。