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連載尾木のママで

小学校で増える「あだ名禁止」「男女ともに“さん”付け」どう思う?

尾木のママで

2018/05/31
イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

「あだ名」「呼び捨て」は禁止、男子も女子も「さん付け」という小学校が増えているとか。学校のルールとして規定されたり、休憩時間も「さん」「くん」で呼ぶよう指導している学校も。賛否両論、テレビやネットも賑わっているわね。

 学校での「あだ名禁止」のムードは、いじめ全盛の九〇年代後半から見られ始めた。いじめ事案を調べると「嫌なあだ名で呼ばれた」という被害者の言葉が必ず出てくる。いじめ防止の観点から「あだ名禁止」の気運が高まったのね。2013年施行のいじめ防止対策推進法、17年発表の国のガイドラインを受けて、いじめの早期発見のために「子供のあだ名や呼び方に気を配る」重要性が改めて注目されるようになったわけね。

 現在、男女共に「さん付け」が主流になった背景には、ジェンダー尊重の考え方もある。ある調査によると日本人の十三人に一人が「LGBT(性的少数者の総称)」だそう。「くん」で呼ばれることに違和感を覚える子がいても当然よね。

 また、「さん付け」で子供同士のトラブルが減ったという教師の報告もある。丁寧な言葉遣いを心がけると心も穏やかになる「言葉の効果」、元国語教師のボクも実証済みよ。 ただ、「あだ名禁止」「一律さん付け」というルールはいかがなものかしら。関係性によっては「あだ名」「呼び捨て」で呼び・呼ばれることで親愛の情が深まったり、コミュニケーションが良好になることもある。ボクも「尾木ママ」という愛称で色んなお友達が一気に増えたし、自分の新たな一面まで引き出された♥ 呼び名の絶大な効果を身をもって知った一人よ。

 そもそも、一番大切なのは相手の気持ちを尊重すること。

「こう呼ばれたらうれしい」「こう呼ばれるのはイヤ」と子供達が安心して表明できる環境づくりも大切ね。学校であだ名について話し合う時間があるといいわね。