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“異色の金融マン” JBIC新総裁・前田匡史氏とは何者か

2018/06/04
前田匡史氏 ©共同通信社

 政府系金融機関・国際協力銀行(JBIC)の次期総裁に生え抜きの前田匡史副総裁(60)を充てる人事が固まった。この前田氏、永田町界隈では知る人ぞ知る人物である。

「菅義偉官房長官に食い込んでいます。フットワークが軽く、顔が広い」(官邸関係者)

 国際協力銀行は前身が日本輸出入銀行という経緯もあり、旧大蔵省の天下り先だった。

 2012年からは、小泉民営化の流れを受け、民間出身者と財務省OBが交互に総裁を務めており、現総裁の近藤章氏は旧住友銀行出身。その人事慣習を壊して、起用されたのが前田氏なのだ。

 前田氏は1980年に東大法を卒業、東大助手を経て82年にJBICに入った。入行3年目に大蔵省国際金融局に出向する“天上がり”を経験した。

「調査課国際収支第二係長などを務めました。民間銀行に比べ、政府系金融機関の出向者はラインに入る形で具体的な仕事をさせてもらいやすい」(銀行関係者)

 さらに、ワシントン駐在を2度経験し、OECD首席交渉代表を務めるなど米国要人とのパイプは太い。

「JBIC総裁顧問や経営企画部長として、政界との関係を深めた。JBICには伝統的に『政治部長』と称される永田町担当がおり、そこで名を馳せた丸川和久元理事の直系が前田氏です。一方で、国際ビジネスに食い込むため、怪しい人物と近づきすぎると批判する声もあった。夏場はワイシャツの第二ボタンまで開けるなど、異色の金融マンです」(JBIC関係者)

 そんな前田氏が表舞台に躍り出たのが、民主党政権下で内閣官房参与となった時だ。

「当時の仙谷由人官房長官の引きで、民主党が進めたパッケージ方式のインフラ海外輸出の知恵袋だった。日本政策金融公庫に吸収されていたJBICを、仙谷氏に進言して2012年に分離・独立させ、行内で不動の地位を築きました」(同前)

 自民党政権に戻っても、北方領土交渉でロシアの銀行へ単独融資に踏み切るなど「官邸の覚えはめでたい」(同前)。

 前田氏は、JBICは海外プロジェクトに企画段階から関与し、戦略的リスクマネーを供給するというのが持論。前田JBICが「官邸の打ち出の小槌化」する日も近い。