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連載今夜も劇場へ

衰退する石炭産業とそれを取り巻く人々――劇団桟敷童子『翼の卵』

今夜も劇場へ

2018/06/01

 戦前戦後を通じて筑豊炭田は全盛を誇っていた。だが、やがて石炭は石油にとって代わられ、衰退産業となっていった。劇団桟敷童子は一貫して、この衰退産業とそれを取り巻く人々を描いている。最新作『翼の卵』が上演中だ。

 一九六四年に家を出た長男(坂口候一)は、会社が倒産し、妻子(板垣桃子、大手忍)を連れて十年振りに実家に戻ってくる。実家の母屋は既に解体業者の宿舎として用いられ、母親(鈴木めぐみ)、二男夫妻(深津紀暁、新井結香)、三男(松本亮)は同じ敷地の小屋に居住している。年老いた従業員(原田大二郎)がやってきた妻子を訳あり顔で見詰める。両者を繋ぐのは幼い記憶にある詩だ。かつてもっていた「翼」。「失敗と失望、逃避と怠惰」。方言で強調された哀愁と消えゆくものの美が一九七四年夏を舞台に展開する。蝉の声が印象的。

 今般退団された外山博美さんの御多幸を祈る。少年役も含め名演技多数。

ツイッター、@GashuYuukiもご覧ください。

INFORMATION

劇団桟敷童子『翼の卵』
サジキドウジ作、東憲司演出
〜6月10日、東京・錦糸町・すみだパークスタジオ(倉)にて
http://www.sajikidouji.com/blank-1