昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載THIS WEEK

森岡 英樹
2016/03/17

マイナス金利不発
イエスマンで固めた黒田日銀

source : 週刊文春 2016年3月24日号

genre : ニュース, 経済

マイナス金利の効果は見えず
Photo:Kyodo

「無名の存在で驚いた」

 金融関係者がこう指摘するのは、4日に衆参議院運営委員会理事会に提示された日銀の新たな審議委員だ。政府は3月末に任期を迎える白井さゆり氏と、6月までの石田浩二氏の後任2人を提示する意向を議運に伝えていたが、当日午前11時に提示されたのは桜井真氏(70)のみだった。

「審議委員の任期は5年で、任期満了の際には75歳となる桜井氏は高齢すぎるとの指摘が出ている」(同前)

 桜井氏は、日本輸出入銀行時代に旧大蔵省の財政金融研究所に出向した経歴がある。

「俗に“天上がり”と呼ばれるもので、都銀からの出向期間が2年だったのに対し、興銀や政府系金融機関は3年だった。当時は日本開発銀行から竹中平蔵氏も出向しており、民間にも人脈を広げるための“横の会”と呼ばれる親睦会があり、秘書課長を囲んで定期的な懇親もあった」(メガバンク幹部)

 桜井氏は、リフレ派で大蔵官僚出身の山本幸三衆議院議員と親しく、安倍晋三首相のブレーンであるエール大の浜田宏一名誉教授との共著論文がある。異次元緩和によるアベノミクスを擁護すると見られる。

 一方、石田氏の後任と見られるのが、新生銀行執行役員の政井貴子氏(51)だ。日経新聞が、白井委員の後任候補と報じたため、情報漏れを嫌った官邸が一旦引っ込めた形となった。

「本来であれば女性枠として白井氏の後任に政井氏、都銀枠として三井住友銀行出身の石田氏の後任にメガバンク出身者が選ばれるはずだった。だが、意中の人物に断られ桜井氏になったと見られる。また、政井氏を巡っては、自民党幹部への根回しの過程で新生銀行からの選出に難色を示す意見があったようだ。自民党内には新生銀行が瑕疵担保条項を行使して取引先を追い込んだとの負のイメージがまだ残っている」(国会関係者)

 ただ、政井氏の就任は動かないと見られる。

「白井氏、石田氏は、マイナス金利導入では、反対票を投じており、採決は5対4のギリギリだった。リフレ派の2人を押し込むことで、審議委員会は完全に黒田総裁の思い通りになる」(同前)

 イエスマンばかりでは、日銀の独立性が危惧される。