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リーグ戦再開、ファイターズはこのやり方で優勝します宣言!

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/06/30
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風に向かって胸を張れ

 ダメ試合から3日後の6月27日、沖縄セルラースタジアム。ホークスがリードする9回裏、1対2、2アウト一、二塁、バッターは田中賢介。すでにショートは石井から太田賢吾に変わり、さらに賢介が代打に出たので、もう誰もいない。同点になったらどうすんの? だけど、同点にならなかったら、そこで終わりの土壇場だ。

 球場は鳴り物がやみ、雑然とした声援が熱帯の空気をざわざわさせて、なんかものすごくドキドキする。賢介は今年は不調で、なんとここまで打点0。ちょっと前までの賢介だったら必ず打ってくれた。チャンスと土壇場にめったやたらに強かったのが賢介なんだから。

 実況解説の建山さんは、3ボールになったところで「打とうと思ってません。フォアボールを取る」と親友賢介の心を先読みする。そうかもしんないけど、いい球が来たら打つよね、打つよね!

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 打球は、一二塁間を抜けて、二塁から代走で出た拳士が帰ってきた。本当に久しぶりの賢介らしいヒットだった。先発の上原くんが子供みたいに笑って喜んでいる。嬉しくて泣きそうになっちゃった。建山さんとわたしが。その後、ホークスの森が乱れてファイターズはサヨナラ勝ち。この日は、賢介を残しておいた監督の準備が良かったのだった。

 埋まっている力は、未だどこまでやれるかわからない。ゆえに失敗もする。大失敗もする。8対0から大逆転負けしたりもする。エラーを連発し、打ち込まれ涙ぐみ、なす術もなく立ちすくむ。でも、真逆のこともある。あっと驚く逆転満塁ホームランを清水優心が打った。もっと驚く中島卓也の満塁ホームランもあった。サードの守備で取る前にこけた横尾くんは、次の日勝ち越しホームランを打ったし、ホークスから戻ってきた鶴ちゃんは、みんなを安心させ、豪打を炸裂させる。書き込もうとすればキリがない。毎日毎日、追っつかないほどの上を下への風が吹きまくる。

 それが、わたしたちのファイターズ。

 最下位予想を覆し、今のところ、2位につける。チャンスの大風はこれから吹いてくる。ダメ試合に下を向いている暇はないよ。

 風に向かって胸を張れ。わたしたちも、その風に乗って、一緒に行こう。風の向こうの頂上まで。

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