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日刊スポーツ「政界地獄耳」が“反則だらけの世の中に”いいこと言った

一億総ゆでがえる時代とは何か?

2018/06/08
note

 悪い冗談のような、ギョッとすることが最近続く。

 たとえばこれ。

「アメフト事件で注目の危機管理学部 存在するのは日大と加計学園だけの衝撃」(日刊ゲンダイ6月1日付)

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私たちは今、すごい現実を生きている

 日大の対応のまずさと共によくネタにされたのが「日大には危機管理学部があるのに」だった。しかし、

《危機管理学部がある大学は全国に3つしかない。千葉科学大(2004年学部開設)、日大(16年)、倉敷芸術科学大(17年)だ。日大の他の2校はナント、加計学園系列の大学である。》

加計学園 ©鈴木七絵/文藝春秋

 ギョッとした。すごい現実を生きていると思う。

 佐伯啓思氏は朝日新聞のコラム「スポーツ本来の意義 『高尚な遊び』取り戻す時」(6月1日)のなかでスポーツを論じながらも、人間の文化は政治も経済も「遊び」のなかで生み出されたと書く。しかし現在は、

《本来の「遊び」が失われてしまい、本当にはめがはずれてしまった。勝つためには反則でもしなければ、という意識があらゆる領域で社会を動かしている。「遊び」がもっていた余裕や自由さが社会からなくなりつつあるのだ。》

会見を行った内田前監督(右)と井上前コーチ ©時事通信社

 そして、

《今日、大衆的なショウと化した政治も過度に競争状態に陥った経済もそしてスポーツも、従来のルールに従っていては勝てない。だから、トランプのような「反則的な」大統領が登場して保護主義を唱え、習近平が自由貿易を唱えている。これも反則であろう。》

 とも指摘した。