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家族が「うつ」になった時に知っておきたい3カ条

共倒れにならないために、医療の手を借りましょう

2018/06/09

 1億総ストレス時代の現在、昔と比べてうつ病の人が増えたのか、あるいは隠れていた潜在患者が表に出てきたのかはわからないが、この病気が身近な存在になったことは事実だ。

 うつ病は、当人が苦しむのはもちろんだが、家族や周囲の人たちにも深刻な影響を及ぼす。接し方を誤ると取り返しのつかない結末を迎えることもあり、いきおい付き合い方も腫れ物に触るようになる。そこに生じるストレスが新たなうつを生み出すこともある。

 家族がうつ状態に陥った時、一体どう対処すればいいのか――。知っておきたい「3カ条」を、名古屋市に本部のある医療法人永朋会理事長で精神科医の加藤晃司医師に解説してもらった。

(1)“素人診断”はするべからず

加藤晃司医師

「会社に行くのがしんどい」とか、「上司との折り合いが悪い」といった愚痴をこぼしていた人が、そのままうつ状態に陥った……。

 この場合、原因は「会社」あるいは「仕事」と考えがちだし、実際そうであることが多い。うつの直接的な原因が明らかな時は、それを取り除くことが治療の大前提だ。この場合は、会社と相談して職場環境を調整してもらう必要がある。

 しかし、必ずしもそれだけでは解決しないこともある、と加藤医師は指摘する。

「一見“会社”に問題があるように見えて、じつはそれはうつに至る入口に過ぎない、というケースがあるのです。会社で何らかの問題があるのは事実としても、さらにその奥に、自分自身や家族との関係性の問題が横たわっている可能性も捨てきれない。そもそも“家族”とは一つのシステムであって、そのシステムに脆弱性があれば、そこに生じるストレスがうつを引き起こしていることは十分考えられる。外から判る事象だけに問題を求めると、対応を誤ることにもなりかねません」

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どうやって本当の原因を突き止めるか?

 ならば、どうすれば本当の原因を突き止めることができるのだろう。加藤医師は「メンタルヘルスの専門家を利用すべき」と言う。

「心の不調を引き起こしている本当の原因を見つけなければ、うつから本当に抜け出すための対策を講じることは難しい。そして、その一連の工程を、うつに苦しんでいる当人が自分自身で進めることは困難です」