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石破茂&小泉進次郎で総裁選の潮目は変わるか

外交は不発、モリカケは依然逆風。正念場の新潟県知事選はいかに……

2018/06/09

「私とプーチン大統領は全力を込めて日ロ関係を動かすと決意している。今変えないで、いつ変えるのか。2人で動かさないで他の誰が動かすのか」

 5月25日、首相の安倍晋三はサンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムの講演で、壇上のプーチンに北方領土問題の解決と平和条約締結を呼びかけた。

 だがプーチンは、直後の海外通信社との会見で、将来の平和条約締結に言及はしたものの、北方領土問題には踏み込まず、翌26日の通算21回目となる安倍、プーチン会談でも進展はなかった。

拉致問題も心許ない状況が続く

 安倍自身もめぼしい成果が得られないことは承知の上だった。側近の首相補佐官・長谷川栄一が5月上旬にロシア入りし、ロシア側の感触を探ったが「厳しい」と報告せざるを得なかった。外交筋からも「領土交渉の進展は困難だ」との情報がもたらされていた。とはいえ、領土問題解決は安倍の金看板の一つ。安倍は「なんとか形を作れるように」と指示。急遽、長谷川は外務審議官・森健良と共に安倍に先立ち訪ロ、元島民による空路墓参の7月実施、ウニの養殖などを想定した共同経済活動の事業化に向けた作業を加速させる合意にこぎ着けるのがやっとだった。共同経済活動の前提となる両国の法的立場を害さない「特別な制度」の協議も、実質的には進んでいない。

 安倍外交の最大の旗印である拉致問題も心許ない状況が続く。

 6月12日に予定されていた米国大統領・トランプと朝鮮労働党委員長・金正恩との米朝首脳会談開催の成否は予断を許さない。韓国、中国を含む関係各国の駆け引きが激化する中、今に至るまで日本の存在感は乏しい。5月上旬に官邸から外務省に「報道関係者から『蚊帳の外』と言われても、反応するな」との指示が下されたのも、焦りの裏返しに他ならない。安倍自身、「テンポが早過ぎる」と周囲に漏らすなど戸惑いを隠せなかった。

米朝首脳会談を間近に控えるトランプ米国大統領 ©文藝春秋

 安倍の「トランプ頼り」の路線にも不安が残る。6月7日にホワイトハウスで改めてトランプとの連携を確認したい考えだが、政府・与党内からは「米国が北朝鮮と(拉致問題を抜きにした)安易な妥協をするのではないか」との懸念もくすぶる。「米国第一主義」を掲げるトランプは、11月に中間選挙も控え、成果が是が非でも欲しい。

「総理は『ごめんなさい。忘れてました』と言えばいい」

 得意の外交で翻弄され続け、内政でも森友、加計学園問題で依然逆風が吹き荒れる。

 官邸に衝撃を与えたのは、愛媛県が5月21日、参院予算委員会に提出した加計学園の獣医学部新設を巡る新たな文書だ。文書には、安倍が2015年2月25日に加計学園理事長の加計孝太郎から獣医学部新設の説明を受け、「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と応じたことが記されていた。「どういうことだ!」。安倍は愛媛県知事の中村時広に怒り心頭に発したが、周囲が「中村を刺激すると、これ以上何がでてくるか分かりません」となだめる一幕もあった。

 安倍は新設計画を知ったのは17年1月20日との答弁を繰り返してきた。15年2月の「いいね」発言が事実なら、すべてが覆り、嘘の国会答弁を繰り返した安倍の責任は免れない。

 自民党幹事長の二階俊博が「総理は『ごめんなさい。忘れてました』と言えばいい。それしかない」と漏らすなど、これまでの答弁の撤回を促す声すら与党内からは上がった。