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連載THIS WEEK

森岡 英樹
2016/03/04

後任人事難航必至 西室社長入院で日本郵政波高し

source : 週刊文春 2016年3月10日号

genre : ビジネス, 企業

古巣の東芝も経営危機に揺れる
Photo:Kyodo

 日本郵政の西室泰三社長(80)が、2月8日から検査入院し、退院のメドがたっていない。「病状は不明だが、退院までにはまだ時間がかかる」(日本郵政広報部)とされ、2月下旬に予定されていた定例会見は中止された。

 西室氏は学生の頃、バスケットで五輪を目指したほどのスポーツマンだったが、突如歩行が困難になる難病を患った。31歳の時、アメリカで手術を受け、奇跡的に歩けるようになったが、下半身には不自由さが残っていた。

「80歳を迎え、いまや介添えがなければ歩行もおぼつかない。昨年秋以降の会見では自力歩行が難しく、会場の出口に車椅子が準備されていたほどだった」(経済部記者)

 入院直前の記者会見でも“予兆”はあった。グループ3社の株の次回売却時期について「2月中旬にも計画を示したい」と明言したのだ。上場したばかりの日本郵政は、5月1日までは株式を売却できない「ロックアップ期間」で、計画を開示することはできない。東証会長も経験し、ロックアップ期間のことを熟知しているはずの西室氏の発言に、事務方が慌ててメモを差し入れる場面があった。

 さらに、提携を進める地銀についても、相手となる地方銀行協会会長行を勘違いしたままだった。滑舌こそ悪いものの、常に質問に対し的確かつ鋭く返答する西室氏だけに、周囲は驚きを隠せなかった。

 日本郵政の上場では、株価低迷を受けて、3社とも一時公開価格を割り込んだ。加えて、マイナス金利の導入により、16年3月期は減益の見通しと先行きは苦しい。

 今回の入院を受けて、後任人事が取り沙汰され始めた。日本郵政の社長ポストは政治銘柄と言われ、財務省出身の坂篤郎前社長は、官邸の意向で事実上、解任された。

「本来なら金融に通じた人が望ましい。坂氏更迭時も、銀行の元トップなどにも声がかかったが、元三井住友銀行頭取の西川善文氏がさんざん叩かれた末に辞任させられた過去をみんな知っている。メガバンクのトップ経験者や財務省出身者で受ける人はいないだろう」(メガバンク幹部)

 元総務省事務次官の鈴木康雄副社長の昇格が落とし所とも言われるが、巨大金融機関の舵取りには不安が残る。今年の日本郵政は、波高しだ。