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森岡 英樹
2016/05/12

トランプ大統領でアベノミクス完全崩壊の危機

source : 週刊文春 2016年5月19日号

genre : ニュース, 国際, 経済, 政治

日本の言うことに耳を貸さない
Photo:Kyodo

 不動産王ドナルド・トランプ氏(69)が、共和党の指名獲得を確実とし、アメリカ大統領となる日も現実味を帯びてきた。

 対日政策では、在日米軍の撤退など外交安保が注目を集めているが、世界一の経済大国だけに、経済面でも日本への影響は必至だ。トランプ氏の唱える経済政策が実施されれば、アベノミクスは一挙に崩壊の危機に立たされることになる。

 今月5日、アメリカCNBCテレビのインタビューでトランプ氏はこう語った。

「私は低金利主義者だ。利上げしてドル高になれば大問題になる」

 利上げに動くFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長については、こう切り捨てた。

「彼女は低金利主義者だが、共和党員ではない。(大統領に就任すれば)任期が切れれば間違いなく交代させる」

 言うまでもなく、利上げ政策を反転させれば、ドル安が進む。トランプ氏は、こうも述べている。

「キャタピラーは、円安で(日本の)コマツと競争するのが難しくなっている」

 ドル安に誘導すれば、アメリカの輸出産業に有利に働く。実はトランプ氏の発言は、「アメリカファースト(アメリカ第一)」で貫かれている。世界のリーダーである前に、アメリカの国益を最優先する姿勢が、白人ベビーブーマー世代を中心に支持を集め、番狂わせを起こしてきた。

 アメリカが主導してきたTPP(環太平洋経済連携協定)についても、「アメリカをだめにする。ばかげた協定」として、再交渉に乗り出す意向を示している。

 一方、安倍政権にとっては、「トランプノミクス」は悪夢だ。アベノミクス3本の矢の第1は「大胆な金融政策」。異次元緩和で、円安に誘導し、日本の輸出産業を稼がせ、株高につなげる。また、第3の矢である成長戦略において、TPPは「アベノミクスの成長戦略の核」(安倍晋三首相)だった。

 ここにきて日本の個人消費は低迷し、成長率も伸び悩む。円高による株安で、日経平均株価は1万5000円台をつけ、行き詰まりを見せるアベノミクス。11月、トランプ当選となれば、アベノミクスは完全に崩壊しかねない。

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