昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載THIS WEEK

外国人観光客の宿泊予約が次々キャンセルに!? 「民泊新法」で大混乱

「宿泊先のない外国人観光客」が大量発生する恐れが高まっている。一般人の空き部屋を観光客に提供する「民泊」を包括的に規制する住宅宿泊事業法(民泊新法)が15日に施行されるのに伴い、予約が大量キャンセルされるなどの大混乱が起こっているのだ。

《たった今キャンセルされた》《東京で2週間、泊まるところがなくなる》《私たちの(民泊での)ハネムーンがうまくいくといいけど……》

 日本旅行を楽しみにしていた海外の観光客のツイッターは阿鼻叫喚だ。BBCなど海外メディアも軒並み詳報。米朝会談で霞みがちだった日本がひょんなことから注目を集める形となった。全国紙社会部記者が解説する。

「混乱の発端は民泊仲介事業の世界最大手、米国の『エアビーアンドビー』(時価総額約300億ドル/以下エアビー)です。同社が7日、日本での15日以降の予約を解除。法施行を前に、法に適合しない宿泊先の『浄化』を一気に進めたのです。今春時点でエアビーに6万件以上あった宿泊先の選択肢は2万件以下に急減。エアビーは補償などのために11億円の拠出を発表しました。法が1年前に公布されているにも関わらず、ドタバタになった背景には観光庁との認識のずれがあったとみられます」

Airbnb(エアビーアンドビー)公式サイト

 民泊は膨れあがる外国人観光客需要を吸い上げ、急成長してきた。安倍政権は2020年までに外国人観光客年間4000万人を目標に観光立国政策を推進。12年に835万人だったのが17年には2869万人に急増した。旅館やホテルの増設が間に合わず宿泊代が高騰するなか台頭してきたのが民泊で、17年にはエアビーだけで600万人近くが利用した。

 一方、脱法的に始まった事業を懸念する声も多く、民泊を利用した外国人による薬物の密輸事件が何度も発覚。昨年6月に成立した民泊新法は、民泊先の提供者には都道府県への届出を義務づけ、衛生管理、宿泊者名簿の作成も求めた。だが、届出は遅々として進まず、いまのところ全国で1000件前後の見込みだ。

 黎明期から民泊関連事業に携わってきた関係者は「制定当初から『あまりに制約が大きい』という声もあがっていました」と漏らす。民泊規制を巡る混乱はフランスなどでも広がっているという。