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カンヌ最高賞受賞「万引き家族」を支えた2人の男

 カンヌ国際映画祭で邦画界21年ぶりとなる最高賞のパルムドールを受賞した、是枝裕和監督(56)の「万引き家族」が8日、公開された。“家族を超えた絆”という是枝監督らしいテーマと共に、実力派が揃った出演陣にも注目が集まっている。とりわけ2人の男優が出色だと映画記者は指摘する。

「本作は“主演者”は決められておらず、“家族”が主人公の映画。出演者のクレジットのトップは父親役のリリー・フランキー(54)で、次が母親役の安藤サクラ(32)。是枝作品には数多く出演しているリリーですが、トップに名前が出るのは初。味のある父親役を好演しています」

カンヌでのキャスト陣。左から4人目がリリー・フランキー、右隣が城桧吏 ©共同通信社

 美大出身のリリーは文筆、写真、作詞作曲などマルチな活動をしながら役者業もこなす多才の持ち主。

「映画デビューは2001年。個性的な役をこなし、『ぐるりのこと。』でのうつ病の妻を支える夫役や『SCOOP!』での薬物中毒者の役などは高評価を得た。昨年にはブルーリボン賞助演男優賞も受賞。彼の出演作品を見たS・スピルバーグ監督が『一体何者? 役者なのか』と唸ったという逸話も。是枝監督は13年の『そして父になる』で演じた子煩悩で人間味のある父親役に惚れ込み、今回もリリーに決めていたそうです」(同前)

 リリーの魅力を映画関係者が語る。

「今回も共演している樹木希林(75)は、『あんたみたいなのが出てきたら、私たち俳優は困る』と語っている。『プロじゃない』というスタンスで難しいことをさらっとやってしまう。本職泣かせです。是枝監督は『注文した芝居にプラスαの仕草を取り入れることができる。バケモノです』と評しています」

 息子役を演じた城桧吏(じょうかいり・11)も光った。

「是枝監督は、子役にはセリフと芝居を撮影当日に言い渡し、緊張感を取り除いて自然体で演技させる手法を用いる。城君も子役離れした演技で応えた。城君の目力は、04年に是枝監督の『誰も知らない』に起用され、カンヌ映画祭で史上最年少の14歳で男優賞を取った事務所の先輩、柳楽優弥(28)を想起させる。将来性は十分です」(映画会社幹部)

 受賞の陰にキャスティングの妙あり。