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連載テレビ健康診断

“ロケ名人”の千鳥が“スタジオでも面白い”を証明した瞬間――てれびのスキマ「テレビ健康診断」

『相席食堂』(朝日放送系)

 いまだに地域差が解消されないテレビだが、「TVer」の登場でようやく少しだけ改善され始めた。まだまだ十分とは言えないが、配信されている番組なら地域外でも公式に見ることができるようになった。

 そんな「TVer」で見た関西ローカルの『相席食堂』は強烈な面白さだった。田舎の食堂を有名人が訪れ、地元の人といきなり“相席”して交流するロケバラエティで、MCはいまや飛ぶ鳥を落とす勢いの千鳥。けれど、千鳥といえばロケの猛者。スタジオでロケのVTRを見てコメントをするのでは彼らの魅力が半減するのではないかとも思ったが杞憂だった。スタジオには「ちょっと待てぃ!!」ボタンが設置され、ロケVTR中、気になるところがあればボタンを押してVTRを止め、ツッコミを入れるという仕組み。これにより、千鳥はスタジオにいるにもかかわらず、ロケに参加している時と同じくらい、いや、それ以上にツッコミを繰り出すことができるのだ。

「相席食堂」のMCを務める千鳥の大悟(左)とノブ(右)

 この日は、尼神インターの渚が沖縄県うるま市に、そして北海道の猿払村に向かったのが、なんとプロレスラーの長州力。すかさず「ちょっと待てぃ!!」ボタンが押され大悟が「この人ひとりの時は外国人と一緒なんよ」とツッコむ。昨今、滑舌の悪さがネタになっている長州。その第一声は「こんちはー、みなさん!」と一語一語ハッキリした口調と満面の笑顔で挨拶。また「ちょっと待てぃ!!」。「画力(えぢから)が強すぎる!」「ちゃんと喋れてるけど(言葉が頭に)入ってこない」と千鳥爆笑。

 地元の人とすぐに打ち解け、孤島で自給自足生活をする「仙人」にも「不思議な子だね」と心を開かせる渚とは対照的に、長州は食堂を訪れ、女性二人と相席しても、まったく会話が続かず「帰ってもいいですか?」と言われてしまったり、子供が目を合わせてくれなかったり、道行く人に近くに食堂がないかを尋ねるも無視されたりと“哀しきモンスター”っぷりが切ない。酪農農家の牧場に行くと、意外にきれい好きな面が顔をのぞかせ、かたくなに乳搾りをしなかったりもする。普通のタレントのロケでは見たことがない光景に、その都度「ちょっと待てぃ!!」と千鳥がロケのスペシャリストの視点で笑いに変えていく。語彙も独特だ。極めつけはソフトホタテ貝柱というおつまみを貰って食べた時。あまりの美味しさに長州は「食ってみな、飛ぶぞ」。普通の食レポでは聞いたことのない単語に千鳥も僕も悶絶した。

『相席食堂』
朝日放送系 日 23:10~23:35
https://www.asahi.co.jp/sp/aisekishokudou/