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連載THIS WEEK

小山 貴
2016/03/05

トランプvs.ルビオ
共和党候補者が日本防衛で激論

source : 週刊文春 2016年3月10日号

genre : ニュース, 国際, 政治

日本への負担を求めるトランプ氏
Photo:Kyodo

 2月25日、米大統領選前半の山場“スーパーチューズデー”を前に共和党指名候補者による討論会が行われた。

 討論会そのものは、候補者同士の中傷が目立ち、政策論争は深まらなかった。だが、意外だったのは、日米の安全保障問題に関して、突っ込んだ議論が交わされた点だ。

 司会者が「防衛問題について」と水を向けると、すかさず反応したのは、不動産王にして暴言王のトランプ氏。

「日独韓3カ国を米国が防衛することはもはやできない。米国はテレビ、エアコン、ベンツなど様々な製品をこれらの国から買い、それによりこれらの国は富を築いている」

「(苦しい)米国の予算のことを考えたら軍役の負担金を出してもらうべきだろう」

 ここで聴衆から拍手が起きた。これを受けて、オハイオ州のケーシック知事も、「ここにいる我々全員、日本がこの問題についてもっと貢献しなければならないという点で意見が一致している」と同調したが、こうも付け加えた。

「ただ世界で指導的役割を担っている我々が日本などに圧力をかけ、責任をはたすべきだとはいいにくい。そう思っている、というのが実情だ」

 一方で、政治的スタンスでトランプ氏と鋭く対立しているフロリダ州選出の上院議員、ルビオ氏はこう述べた。

「朝鮮半島の防衛に韓国は年間8億ドルを投じ、日本も貢献している。もし米国がその責任を放棄し、同盟が崩壊すれば、日韓両国は核保有国になるだろう。だから米国は軍を再建しなければならないし、アジア太平洋の防衛を放棄することはできないのだ」

 これに対しトランプ氏は、

「私は放棄するといったことはない。できるだけ多くのお金を日韓に払ってもらいたいと思っているだけだ。われわれが両国の安全保障のための助成金を出す余裕はない」

 ルビオ氏が「いくら(日韓から)必要か」とただすと、トランプ氏は「私が交渉し、信じられないくらいの金をとる」と厳しい表情で応じた。

 それぞれスタンスに違いはあるものの、米国の軍事予算が苦しい状況にあり、これを再建するためには、日韓にも相応の負担を求める必要があるという認識は一致しているといえよう。日本にとっても考えさせられるところの多い議論だった。