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“謎ドラフト”を展開した阪神
金本監督の決断は吉と出るか

source : 週刊文春 2016年11月3日号

genre : エンタメ, スポーツ

ドラフト会場で笑みをみせる金本監督
Photo:Kyodo

 10月20日、プロ野球ドラフト会議が行われた。

「“阪神の謎ドラフト”と球界で笑われてます。OBからも『金本の自己満足』との声も挙がってますが、球団内は『超変革なんだから、仕方ない』と諦めムードです」

 こう語るのは、あるベテラン記者。阪神は即戦力投手、桜美林大の佐々木千隼(22)という事前の予想を覆して、白鴎大の大山悠輔内野手(21)を1位指名したのである。

「今年は投手豊作とされ、野手の注目選手はほんの一握り。大山は大学侍ジャパンの4番ですから、いい打者とは思いますが、マスコミ各社の候補者リストでもBランクだったはずです。正直1位じゃなくても……」(同前)

 大山指名の瞬間、会場は「えーっ?!」とどよめきに包まれたが、このサプライズ指名には、編成を含めて全権を任される金本知憲監督の意向が強く働いた。その背景には昨年の“成功体験”がある。

「昨年のドラフトで阪神スカウト陣は、今年DeNAで活躍した今永昇太投手を推していました。それを金本監督が引っくり返して、高山俊外野手を指名し、結果、高山は新人王候補の大活躍をした経緯がある。監督は自分の目に自信を持ち、スカウト陣も反論できないという構図になっているんですよ」(同前)

 スポーツ紙デスクは、「監督は長距離打者を育てたいんですよ」と語るが、ドラフト当日の会議で、金本監督とスカウトとの間でこんなやりとりがあったという。

金本「一番飛ばすのは誰?」

スカウト「大山です」

金本「佐々木1位で行って、2位で大山を獲れる?」

スカウト「外れ1位なら」

金本「佐々木を獲れたら?」

 1位で佐々木を獲得した場合、2巡目はウェーバー制となるため阪神の指名順は6番目となる。そこでスカウトが「大山を100パーセント取れるとは言えません」と答えたところ、金本監督は「それじゃ嫌だな」と応じたのだとか。

「本来、佐々木を一本釣りできたら大成功のはずなんですが、そうは考えないのが金本流。投手は外国人で何とかなる、と思っているとか(笑)。監督は『大山は俺が育てる。3年後には開花させる』と意気込んでいるそうです」(前出・スポーツ紙デスク)

 3年後、愛弟子の活躍をベンチから見守れるだろうか。