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「覚せい剤と並ぶ重要なシノギ」ナマコの密漁に暴力団が執着する理由

 夜の闇を縫って「黒いダイヤ」を掠め取った高速船を、海上保安庁の巡視艇が追い回す――。いま、日本の海で繰り広げられている光景だ。

黒光りする三陸産ナマコ ©共同通信社

 黒いダイヤといっても宝石ではない。黒光りするナマコだ。水産庁は12日、ナマコ漁に漁獲証明制度の導入を検討していることを自民党の関係部会で明らかにした。全国紙社会部記者が解説する。

「漁獲証明制度は世界的に乱獲が問題になっているクロマグロでも導入されており、各漁協から原産地証明書を得ないと税関が輸出を認めません。ナマコは漁協を通さない加工業者との相対取引が多く、密漁を誘発してきました。その仕組みを根本的に変えるわけです。過去の乱獲で数が減ったりサイズが小さくなったりもしており、管理が急務となっています」

 日本人には酢の物ぐらいしか縁のないナマコだが、水産物としての輸出額はホタテ、真珠に次いで3位の200億円。輸出先のほとんどは中華圏だ。中華料理では乾燥ナマコを重宝しており、“爆買い”の対象となって価格は高騰。現在は生ナマコがキロ数千円、加工ナマコがキロ数万円で取引されている。

「国内の密漁事件の大半は個人によるものですが、ナマコだけは別。完全な組織犯罪です。専用の違法器具で夜半に組織的に密漁し、海保の巡視艇より速い高速船で逃げ切ります。密漁の稼ぎでできた『ナマコ御殿』はそこかしこにある。密漁を仕切っているのは暴力団。5月には山口組系組員が北海道で450キロを密漁して逮捕。青森では約60トンを密漁した山口組系組長が昨年、責任を民事裁判で問われ、1億円の賠償を命ぜられています」(同前)

 密漁に拍車をかけるのが現行の法制度だ。密漁行為の摘発は現行犯が原則。各自治体の規則では、密漁ナマコの所持は最高でも6カ月の懲役、10万円の罰金が相場で、歯止めになる罰則ではない。

 密漁に詳しい暴力団関係者は「ナマコの密漁は覚醒剤などと並び重要なシノギ(資金源)のひとつ。見つかってもナマコを海に放り投げれば所持の証拠すらないし、海保の船はノロいからそもそも追いつけない。しかも逮捕されても大した罪じゃない」とその旨味を述べ立てる。

 新制度で一網打尽、となるか。