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連載近田春夫の考えるヒット

音響から演奏者の顔が浮かぶよう G-FREAKにみたバンドの醍醐味――近田春夫の考えるヒット

2018/06/27

『カモメトサカナ』(G-FREAK FACTORY)/『カタルシスト』(RADWIMPS)

絵=安斎肇

 '97年に結成されたというからG-FREAK FACTORY、大ベテランだ。CDを聴くのは、多分今回が初めてである。

 どのような世界を繰り広げてくれるのか皆目見当もつかぬまま音源の再生に入ると、U2的とはいささか分類が大雑把過ぎるかもしれぬが、ゆったりとした――ドピーカンな天気よりは曇り空の似合いそうな――一種叙情を促すようなグルーヴを持つ、ある時代以降のイギリスのシーンの影響を感ぜずにはいられぬサウンドが耳に入ってきた。

 いずれにせよ、フィードバックディレイをかましたスネアの解釈も印象的なイントロから、jpopには珍しく――歌声でも歌詞でもない、メロディでもない――自然と演奏に耳がいったのだった。

 といってとりたてて個性の強い音色だったりしたのでもない。ただ、なぜか音響から楽器を弾くひとりひとりの顔や表情や意識が伝わってくる、と書くのも主観的過ぎるといわれればそれまでだが、聴いていると、たしかに歌だけではまかないきれぬ、表し得ぬものというのは絶対にあるんだよなぁポップソングには。それこそがバンドの醍醐味なんじゃんさねぇ、などという気分にもさせられ、昔GSに夢中になっていた頃のことなどを思い出しては、少し心が熱くなったりしたのである。

カモメトサカナ/G-FREAK FACTORY(BADASS)作詞:茂木洋晃 作曲:茂木洋晃・原田季征 群馬拠点のレゲエとロックを愛するバンド。

 おっと、誤解されるといけないので断っておくが、決してG-FREAK FACTORYがGSを思わせるバンドだったわけではない。曲調は普通に今日的であり、そして歌詞も、いってしまえば今時のjpopに割とありがちな、たとえば、

 ♪柄にもねえ仏心で 晴曜日にはまたお前を連れて/毎日を貼り付けてる そんなみんなが見えるあの丘に登ろうか的傾向のレトリック満載で、本来ならむしろ苦手なタイプに属する筈の『カモメトサカナ』なのだが、この“音”にはついつい聴きいってしまった、その一番のきっかけはといえば、ベースのフレーズだったかもしれない。

 普通、この手のテンポやビートにはあまり合わせたりしない、ファンキーなリフ(アレサ・フランクリンの『ロック・ステディ』などで用いられている)を、基本に据えていたのだ。それがとても新鮮に思え面白かったのである。イヤフォン等でチェックされれば、よく聴きとれてその意味もきっと理解出来ると思うので、是非読者諸兄にもトライをお勧めするものである。

 そういえばこの連載のなかで、ベースに言及したことは、これまでなかったかもしれない。それを記念して、老婆心ながらの専門的な感想をひとつ。この繰り返されるベースの譜割りだが、三拍めの裏をほんのもうすこーし、ホントに、聴いてわからない程度後ろにずらすと、結果もっと歌にドライブがかかるのでは?

 そのあたりの理屈に関しては、俺も相当に研究/実践してきたので割と自信あるのよ。

カタルシスト/RADWIMPS(UNIVERSAL)作詞作曲:野田洋次郎 ワールドカップ・フジテレビ系テーマ曲。同時収録曲もネットで話題に。

 RADWIMPS。

 カタルシストかぁ……。それにしてもここのフロントのヒト、結構ナルシストよね?

今週の告知「横浜のライブハウス“The CLUB SENSATION”でオレのバンド“活躍中”がステージやるよ。実は“活躍中”のベース高木英一と本店オーナーの鈴木享明はかねてベースストラップの長さを競いあう仲だったんだけど、当日どっちが世界一長いのか、ついに決着がつくわけよ」と近田春夫氏。「これは見逃せないよね。6/30、18:30から!」