昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

大谷翔平 エンゼルスGMが明かした“特別な才能”

GMがあげた「空間把握能力」と「変われる力」

2018/07/08

「ただ信じられない」

 今年で45歳を迎えるシアトル・マリナーズのイチロー外野手は、こう言って言葉を飲んだ。

 

 投打二刀流でメジャーに挑戦するロサンゼルス・エンゼルス、大谷翔平選手の活躍について、現地の有料スポーツサイト「ジ・アスレチック」が、イチローを直撃したのだ。

「スター選手は正しいときに輝きを見せる。彼がいましていることは、スター選手とそうでない選手の違いでもある。注目が集まる中ですべてをやっているのだから……」

 大谷の存在感をこう評したイチローが続けたのが冒頭の唖然とした言葉だった。そうしてイチローは選手としての大谷に言及した。

「大谷のどっしりとした心構えが身体的、精神的、感情的な面で様々な局面を切り抜ける上での助けになる。僕は他の人々と同様に大谷がマウンド上、そして打席で素晴らしい結果を残していることにも衝撃を受けている」

子供たちが原っぱで野球をするように

 17年前のイチローの登場も全米を衝撃に包んだ。

 ただ、イチローやその後に海を渡ったニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜外野手、またパイオニアである野茂英雄投手や黒田博樹投手といった過去の日本人大リーガーたちと大谷には決定的な違いがある。

 

「僕はバッターではあまり緊張したことがない」

 メジャーデビューを果たしたオークランド・アスレチックス戦後の記者会見では、ときおり笑顔を見せながら大谷はクールにこう言ってのけた。

「全体的に楽しめたかなと思っています。そっちの気持ちの方が緊張感を上回っていたんじゃないかと。(試合への)入りから、最後までそういう気持ちだったのではないかと思います」

 初登板後の発言だ。

 先達たちはメジャーという高く、厚い壁に向かって修行僧のような厳しい表情で立ち向かい、苦難の末に結果を残してきた。しかし大谷は子供たちが原っぱで野球をするように楽しみながら笑顔で易々とその壁を乗り越えていっているように見える。

 今までの日本人メジャーリーガーとこの23歳の若者の最大の違いは、そういうグラウンドでのメンタリティーなのである。その違いがイチローには「信じられない」光景として映っていたのだ。

 そうしてメジャーの階段を登っていく大谷の姿を、メジャーの関係者たちはどう見ているのだろうか。