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西野朗監督“2カ月の突貫工事”は、日本代表の何を変えたのか?

西野朗監督“2カ月の突貫工事”は、日本代表の何を変えたのか?

2018/06/23
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守備リーダー・吉田麻也が考えていたこと

 コロンビア戦に先発した選手の半数が、前回ブラジルW杯での屈辱を味わった選手たちだった。その想いを晴らしたいと、多くの選手が欧州にわたり厳しい世界に身を置いた。その経験がチームに強さと賢さをもたらした。

 開始3分で相手に退場者が出て、日本はPKで先制するという幸運に恵まれる。4年前の初戦コートジボワール戦でも先制点を得たものの、逆転負けした。その経験を踏まえて守備リーダーの吉田麻也がコロンビア戦での心境を振り返る。

「焦らないように、1-1で終わっても最悪OKというぐらいに割り切ってやっていました。2-1にしてからも、仮に2-2にされても焦らずにやろうと声をかけていた。いろんなシチュエーションを想定し、準備をしてきた。僕だけじゃなく他の選手もパニックに陥らなかったところはよかったです」

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 相手がひとり少ない状況であっても、侮れない。それがコロンビアだった。

©JMPA

決勝点を決めた大迫が語った「前回の経験」

 決勝点となった2点目を決めた大迫勇也は、前回大会の経験の大きさを口にする。

「前回は、初戦で負けて、個人的にもなにもできなかった。その経験が今回生きたと思っています。すべてがうまく行くことなんてないし、本当に悪いときもある。その中でどれだけ自分たちが歯を食いしばって頑張るかだから」

 試合前にはほとんど言葉を発しなかった大迫。「しゃべることはないですよ。やるだけです」と言った男が結果を出した。

ヘディングで決勝点をあげた大迫(中央) ©JMPA