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いまからはじめる「資産運用」と「相続対策」

ファイナンシャルプランナー深野康彦氏に聞く(特別広告企画 金融・相続特集)

人生100年時代のヒント(1)資産運用
公的年金に上乗せする手段として位置付ける

まずは公的年金を上手に受け取ること

 少子高齢化が加速する一方、公的年金だけでは老後の生活資金が心もとない現状を背景に、自助努力による資産運用の必要性が叫ばれている。「自助努力による資産運用は必要ですが、老後資金のベースになるのはあくまでも公的年金です。公的年金に上乗せする手段として、資産運用を位置付けることが肝心です」とファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は釘を刺す。その上で深野氏は資産運用を検討する前に、年金保険料に未納分がないかどうかチェックし、もしあれば追納制度等を利用して公的年金を満額もらえるようにすることが先決だとアドバイスする。

ファイナンシャルプランナー 深野康彦氏
ファイナンシャルプランナー 深野康彦氏

 また人生100年時代を前提とすれば、公的年金の受給開始年齢をできるだけ繰り下げることもポイントになる。老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給は65歳を超えてからだが、仮に70歳以降まで受給開始年齢を繰り下げると、受給額の増額率は42%になる。終身で収入を確保する仕組みとして、公的年金をきちんと理解し、上手に受給したい。

 とはいえ、やはり公的年金だけでは余裕のあるセカンドライフには心もとないものだ。自助努力による資産運用の代表的な選択肢は、株式投資や投資信託になるだろう。個人型確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISA(少額投資非課税制度)など、個人の資産運用を後押しする制度も拡充されているので利用したい。一生涯の定期収入の仕組みをつくる手段として、アパート・マンション経営なども昨今では注目されている。ローンを活用して賃貸物件を購入しても、現役時代にローンを完済してしまえば、あとは収入を生む資産としての物件が残る。いずれにせよ、現役時代から将来に向けての計画を立て、準備しておくことが肝心だ。


人生100年時代のヒント(2)相続対策
のこされる家族のためにも元気なうちに準備しておく

遺産分割協議から始め節税対策は最後に検討

 人生100年時代といわれるいま、相続の心配などまだまだ先のことと思うシニア層も多いだろう。しかし高齢になり体力や判断力に不安を覚えるようになってから自分亡き後のことを考えては、思い通りの最期にはなりにくい。そればかりか、のこされた家族にも大きな負担をかけることにもなりかねない。自分が元気なうちから人生の最期をどのように過ごしたいか、相続を含めて考えておく必要がありそうだ。

 特に相続は高齢になってから慌てて対処すると、失敗する可能性が高まる。まずは相続対策を検討する際の順番とポイントを確認しておきたい。「最初に検討すべきは、遺産分割協議です。次に納税資金対策、最後に節税対策というのが相続対策の手順です」と深野氏はアドバイスする。

 
 

 遺産分割については、遺言がなければ法定相続割合を目安に相続人同士で話し合うことになる。誰がどの財産を、いくら受け取るのかを合意するのは容易ではない。

 相続人同士が近くに住んでいれば話し合いも頻繁にできるが、離れて暮らしていたらそうもいかない。全員の合意を取り付けても、誰が名義変更等の手続きを行うかという問題が生じる。銀行預金を引き出すだけでも、被相続人が生前に戸籍を移したすべての役所から戸籍を取得し、銀行の窓口に提出しなければならない。相続税の課税対象者であれば、10カ月以内に申告・納付する義務が発生する。

 こうした煩雑な手続きを少しでも緩和し、相続のトラブルを未然に防ぐには、被相続人が生前に財産を整理し、遺言で遺産の分け方を決めておくことが重要だ。財産を遺贈し、広く世の中のために役立ててほしい、といった願いも遺言を残しておけば叶えられる。

 遺産の規模が相続税のかかる水準であれば、次に納税資金対策を講じたい。不動産が資産の多くを占めている場合、換金に時間がかかり申告期限内に納税できないこともある。事前に相続税額を試算し、一部売却して納税資金を確保することも念頭に置いておきたい。

評価額の圧縮には不動産活用が有効

 そして最後に行うのが節税対策だ。節税対策には資産の「額そのもの」を減らす方法と、「評価額」を減らす方法がある。資産の額そのものを減らす方法で有効なのが生前贈与だ。

 贈与を受ける側一人につき年間110万円までの贈与税の非課税枠を利用すれば、少しずつ資産を減らすことができる。節税対策にもなり、子や孫の資金ニーズを満たすこともできる。

 評価額を減らす方法には、不動産の活用が有効だ。現預金や金融資産を不動産に替えることで、評価額を圧縮することができる。更地に賃貸物件を建設すれば、さらに評価額を下げることができる。

 「とはいえ、節税目的でアパート経営を始めたものの思うように入居者が集まらない、というのでは本末転倒です。入居者のニーズを満たす物件を建てるためにも、不動産業者選びは慎重に行いましょう」(深野氏)

 相続対策は専門知識が必要な面も多く、専門家からアドバイスを受けてじっくり検討したい場合もあるだろう。そのためにも元気なうちに相続に関する自分の希望や考えを整理しておくことが成功への第一歩といえそうだ。