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初検証・これが小池百合子氏のアラビア語の実態だ

そのカオスと稚拙さに思わず赤面した!

2018/06/28
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正則アラビア語とエジプト口語がごちゃまぜ

 2つ目の動画はエジプト国営衛星放送のインタビューで、エジプトを訪問しシーシー大統領(2014年6月就任)に会うときのものである。

 小池氏は「えー、去年、私はカイロに来ました。シーシー大臣にお会いする素晴らしい機会がありました。面会は、とっても、とってもよいものでした」「大統領は、教育やセキュリティの分野における、日本とエジプトの関係に関心を持っていると聞きました。私はシーシー大統領の日本訪問が2国間の関係を強化し、早めることを期待します」というようなことを、最初の動画以上に、つっかえつっかえ話している。

シーシー大統領(写真右)と会談する小池氏(通訳を介して日本語で会話) ©時事通信社

 この種のテレビ・インタビューは正則アラビア語で話すのが当たり前で、キャスターも一貫して正則アラビア語で話している。しかし、小池氏の発言は正則アラビア語とエジプト口語がごちゃまぜである。小池氏は正則アラビア語をちゃんと話せないようだ。

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「美味しい」面会?

 冒頭いきなりエジプト口語で「サナ・リファーテット(去年)」と言っている。ここは正しくは「サナ・マーディーヤ」。「私に~があった」という意味で使っている「クント・アンティ」は口語かつ文法上の間違いで、正しくは「カーナット・アインディ」。「会う」という意味で何度も使っている「アシューフ」もエジプト口語である。正しくは「アルタキー」。「マブスータ(「嬉しい」の女性形)」もエジプト口語、「ズィヤーラ(訪問)」の後、「(場所)へ」を意味する前置詞の「リ」を使うのもエジプト口語で、正しい前置詞は「イラー」。

 アラビア語を学んだ人なら分かるはずだが、正則アラビア語の中に突然口語が混じると、途端に会話に品がなくなる。このエジプト人女性キャスターは内心唖然としていたはずだ。

カイロの街並み ©iStock.com

 単語の間違いも多い。一番驚くのは「面会は、とっても、とってもよいものでした」と言うのに形容詞の「ラズィーズ」を使っていること。辞書によっては「甘美な」という意味も出ているが、実際には食べ物にしか使わない「美味しい」という意味の語で、「面会は、とっても、とっても美味しいものでした」と話している。また「教育」という意味で「タルビーヤ」を使っているが、これは「子供を躾ける」という意味で、正しくは「タアリーム」。小池氏が日本語で話し始めたあとのアラビア語通訳者も「タアリーム」を使っている。

 小池氏は自分のアラビア語が不安らしく、1分22秒のところで「大丈夫?」とそばにいる人に訊いている。さらにアラビア語で続けられなくなって、2分35秒のところから日本語に切り替えている。しかし、その日本語の話もアラビア語訳に悩むような難しい内容ではない。