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連載THIS WEEK

阿部 平三郎
2016/07/22

巨額上場LINE
課題は脱ゲームと日韓のすれ違い

source : 週刊文春 2016年7月28日号

genre : ビジネス, 企業, 商品

株の8割強は韓国の親会社が保有
Photo:Kyodo

 メッセージアプリのLINEが先週、日米で同時上場を果たした。東証への上場初日の終値は公開価格を3割上回り、時価総額は9100億円超。今年最大の上場となり、ひとまず好調なスタートを切ったが、「死角」も見え隠れする。

「世界の陣取り合戦はほぼ終わっている」

 LINEの出沢剛社長は15日の会見で、メッセージアプリの競争環境をそう表現してみせた。LINEは、欧米では先行する海外勢に太刀打ちできず、トップシェアを握れたのはタイと台湾だけ。そこで出沢社長は、上場で得たお金を経済成長著しいインドネシアに集中投下して今の2位からトップをめざす一方、日本を含む4カ国・地域以外では利用者の獲得競争から距離を置く考えを明かした。

 日本では2人に1人が使うアプリだけに知名度は抜群だが、LINEが急成長した本当の理由はあまり知られていない。経済部記者が解説する。

「LINEの真の立役者は、実はスマホ向けのゲーム。ゲーム事業の責任者だった森川亮氏が社長だった07年から15年春までに、LINEPOPやディズニーツムツムといったヒット作を飛ばし、数年前までLINEの売上の大半をゲームが稼ぎ出していた」

 だが、スマホゲームはここ数年で競合が増える一方、市場の伸びは鈍ってきた。浮き沈みも激しく、「ゲーム依存」が危ういことはLINEの経営陣自身がよくわかっていた。そこで収益の柱を新たにつくることが、15年春就任の出沢社長の最優先課題だったのだが、「決して楽観できるような成果は出せていません」(同前)。

 15年12月期決算は売上高が前年より約4割伸びたが、純損益は79億円の赤字。15年3月に買収した音楽ストリーミング事業は1年足らずで撤退し、弁当宅配やフリマアプリなど失敗に終わるサービスも相次いでいる。

 LINEが上場を最初に申請したのは2年も前。韓国の親会社ネイバーが通常の10倍の議決権を持つ種類株の発行にこだわり、東証と対立して上場が遅れた。

「日本と韓国の経営陣が必ずしも一枚岩ではない『韓日リスク』も見え隠れする」(証券関係者)

 上場資金で、新たなビジネスモデルを構築できるか。