2013年の『グッドバイ』以来、『草枕』『遊俠沓掛時次郎』『黒塚家の娘』と続くシス・カンパニーの日本文学シアター・シリーズ。その第5弾『お蘭、登場』が上演中だ。江戸川乱歩の世界である。
探偵(堤真一)と警部(高橋克実)を前にして、激流の中に山百合を浮かばせつつ登場するのがお蘭(小泉今日子)。劇中、婦人警官、研究所主任、道化師、和装の美人、探偵の妻などに七変化する。場面としては、胎内回帰、生首、人間椅子、接吻談義、滝からの生還といった乱歩得意の題材。堤と高橋が楽屋落ちや時事ネタの冗談を言い合う場面も楽しい。道化の場面では、小泉が歌やトークを披露している。
演出の寺十吾(じつなしさとる)には、役者としての活躍も『お勢登場』『あの記憶の記録』など思い出されるが、演出作品は常に重厚で陰影に富んでいる。
探偵らをホームズとワトソンとすれば、お蘭はアドラーのように妖艶だ。
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INFORMATION
シス・カンパニー『お蘭、登場』
北村想作、寺十吾演出
〜7月16日、東京・三軒茶屋・シアタートラムにて
7月19日〜26日、大阪・サンケイホールブリーゼにて
http://www.siscompany.com/oran/
