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ソニーをV字回復させた平井社長 27億円の役員報酬は「高い」か「安い」か

2018/07/02
サプライズ退任と言われた平井氏 ©文藝春秋

 27億1300万円――。

 3月末までソニーの社長を務めていた平井一夫会長(57)の昨年度の役員報酬である。11億8200万円の退職金とストックオプションを合わせた金額だが、ソニーの歴代トップとして最高額となる。

「平井氏は、社長在任6年の間に奈落の底で喘いでいたソニーを見事V字回復させ、今年3月期決算では過去最高益に導いた。ただ、それにしてもあまりの高額に驚いた」

 こう語るのは、メガバンク幹部だ。ソニーの復活は、事業・人員のリストラ効果が大きく、「金融という安定した収益基盤に支えられた、泡沫(うたかた)の復活」(同前)と見られているからだ。

 確かに、全体収益に占める金融事業の割合は、16年度では44%、17年度でも22%に及ぶ。そこにはエレクトロニクス業界を席捲した「世界のソニー」の姿はない。

 平井氏は、2012年にハワード・ストリンガー氏の後を継いで社長に就いた。1960年、東京都に生まれ、銀行員の父の海外赴任に伴って、幼少期から米国やカナダと日本を往き来する生活が続いた。その反動もあり、自ら希望して日本の国際基督教大に進学。大学時代には先輩のジョン・カビラとクラブイベントを学園祭でやり、ダンスフロアを大いに盛り上げた逸話も残る。卒業後、CBS・ソニー(当時)に入社。主に海外・マーケティング畑を歩み、グループ会社幹部を経て社長に昇りつめた。

 平井氏は就任後、1万人の人員削減やパソコン事業の売却など痛みを伴う改革に乗り出した。「追い出し部屋」の存在もクローズアップされ、批判を浴びたが、苛酷なリストラが功を奏して本業のエレクトロニクス事業は16年3月期に5年ぶりに黒字化した。

「ただ黒字転換、過去最高益に最も貢献したのが金融事業。また、主力の半導体事業は市場の変動に大きく左右される。リストラで筋肉質にはなったが、その分、将来性、発展性のある事業が少ない」(アナリスト)

 事実、来期決算は減収減益が予想されている。ソニー内部では、「平井さんはいい時に辞めた。勝ち逃げだ」とのやっかみの声も上がる。27億円が高いのか、安いのか。答えは意外に早く出るかもしれない。