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日本は有数の「食品ロス」大国 食べられる部分を捨ててはいけない

『その調理、9割の栄養捨ててます!』(東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 監修)――ベストセラー解剖

2018/07/04
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『その調理、9割の栄養捨ててます!』(東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 監修)

〈ニンジンは切り方の違いで栄養が1/2もダウン!!〉〈タコは揚げ物で疲労回復効果がMAX!!〉など、数字や効能を明快に打ち出した刺激的な見出しが並ぶ。野菜を中心に、たしかなエビデンス(論拠)に裏打ちされた栄養面でお得な食べ方のコツを、キャッチーにまとめた本が好調だ。

「たとえば昔、ほうれん草の根っこは捨てるように教わったと思うのですが、それは当時、まだ土壌汚染がひどかった頃のこと。今は問題が改善されて、綺麗に洗って食べたほうが無駄がないんです」(担当編集者の後藤明香さん)

 こうした食に関する正しい情報を広めることにくわえて、まだ食べられる食材を捨てる行為、いわゆる「食品ロス」の問題も意識して企画を立てた。日本は先進国でも有数の「食品ロス」大国。その原因のひとつに、捨てる部分の多い、誤った調理法がある。お得な食べ方は、環境にも優しいのだ。

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「人気に火が付いたのは関西からです。やはり損得の話に関西の方は敏感なようで、東京の4倍以上も売れて、そこから全国に人気が広がりました。また、男性読者が全体の3割を占めているのもユニークな点です。病院に掛かる前に、日常生活を見直して健康でいようとする男性が増えていて、そこにも届いている印象ですね」(後藤さん)

 5月末刊行の第2弾『栄養まるごと10割レシピ!』も、早くも3万部突破。2冊とも勢いが続きそうだ。

2017年3月発売。初版6000部。現在16刷25万1000部

その調理、9割の栄養捨ててます!

(東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 監修)

世界文化社
2017年3月17日 発売

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栄養まるごと10割レシピ!

小田 真規子(著)

世界文化社
2018年5月26日 発売

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日本は有数の「食品ロス」大国 食べられる部分を捨ててはいけない

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