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“カープらしさ”の始まりは、高橋慶彦の“アニメ感”だった

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/07/05
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現実離れしたヨシヒコの“アニメ感”

 一番バッター高橋慶彦の出現は衝撃的だった。村上龍氏はその驚きから小説「走れ!タカハシ」を著した。「ヨシヒコ以前」の名トップバッター福本豊、柴田勲らも素晴らしいスピードとパワーを兼ね備えていたが、ヨシヒコは何かが違っていた。何というか現実離れしたような格好良さ、まあなんというかアニメキャラを見るような新鮮さ、現実離れ感があった。今日の大谷翔平を想像してもらえるとちょうど良いかもしれない。「機動力野球」という言葉は古葉監督時代のカープから広まったが、ヨシヒコはその象徴だった。僕にとって、カープらしさを象徴するのがヨシヒコだったと思う。

 2018年のカープを見ると、ヨシヒコの位置にタナキクマルがいる。一人一人というより、3人で1人のヨシヒコだ。3人でようやく高橋慶彦1人分、という意味ではない。三位一体、あるときは1人、あるときは3人、変幻自在のヨシヒコが塁上を駆け巡る。まるで合体ロボかスーパー戦隊。1980年のヨシヒコに感じたアニメ感がより進化してタナキクマルに継承される。ああこれぞカープだなあと思う。ジーンとなる。

 さて、タナキクマルがヨシヒコの進化形だとすると、鈴木誠也は山本浩二の進化形になるのだろうか? 誠也自身はそれを目指してはいないだろうが、私個人のロマン課題として未完の大器セイヤとコージを重ねてみたい。いよいよ夏本番、今年も私の夏の夢はカープとともに見る。

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