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ホークスの応援には、なぜ「福岡」という言葉がないのだろうか

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/07/07

 いよいよ始まる「鷹の祭典」。初年度の‘05年から昨年までの通算戦績は42勝20敗、勝率6割7分7厘を誇る。ホークスが今年の混戦パ・リーグから頭一つ上に抜け出すのにもってこいの目玉イベント試合の到来だ。

 今年は7月9日と10日、東京ドームが始まりの地だ。

 東京ドームは、神宮球場の次に、初心に帰れる思い出深い球場だ。僕は大学4年間を東京で過ごした。法政大学のスポーツ新聞部に所属していたため、神宮には東京六大学野球を取材するためにとにかく通いまくった。ときには授業より野球を優先してまで(笑)。

 そして東京ドームはキャンパスから近かったこともあり、当時の僕にはプロ野球観戦のメッカだった。まだファイターズが北海道に移転する前の時代だ。金がなかったあの頃は、格安の「自由席」チケットを求めて金券ショップを巡りに巡ったものだ。一番安かった時には150円で買えたのを覚えている。大体300円~500円が相場だった。

 もちろんホークスのファンだった。レフトスタンドに応援に行くと、そこら中で九州の方言が飛び交っていた。それがとても耳に心地良かった。ある時、サラリーマン風のおじさんから「兄ちゃん、(出身は)どこね?」と声をかけられた。「熊本です」と答えると「そうね!」と嬉しそうに、ビールを一杯奢ってもらった。イイ思い出だ。

 上京して強く感じたのは、九州人の地元愛の深さだ。お笑い芸人の博多華丸・大吉さんを見れば、すごく分かりやすい(笑)。僕個人の思い出だと、たとえば高校野球の甲子園か。熊本の人間だったら、代表になった「熊工」や「九学」など郷土のチームを応援するが、敗退してしまえば「じゃ、残りの九州勢を応援するバイ」となる。福岡や鹿児島の友人や知人に聞いても大体が同じ反応だったのだが、大学時代に首都圏出身者や他地域の友人らに同じ話をすると不思議そうな顔をされた。

 なのに、なぜだろう……。大学卒業以来、ヤフオクドームでホークス戦を長らく取材しているが、17年目の今シーズンになって気がついた事があった。ホークスの応援(特にチャンステーマ)には、なぜ「福岡」という言葉が盛り込まれていないのだろう?

ヤフオクドームの外野スタンド ©時事通信社

地域名を応援歌に取り入れている球団の数々

 現在、我がホークスのチャンテは現1軍打撃コーチの藤本博史、勝負強い左打者だった若井基安の現役時のものを流用している。これはこれで、かつてのホークスを支えた名選手をリスペクトしているようでとても好きである。あと‘13年から「ここで決めろ」のチャンステーマも存在するし、九州・関東・関西とそれぞれ全く別の応援歌を用いているのも特徴だ。

 今年は、カープとの交流戦がヤフオクドームで行われた。さすがと言うべきか、彼らはビジターにも拘らずヤフオクドームのほぼ半分を真っ赤に染め上げていた。この光景はカープ戦でしか見られない。ここは「広島」と名のついたチームなだけに「チャンステーマ3(飛ばすチャンス)」に「広島!」というフレーズが出てくるし、今季の新応援歌「攻めろ!」にもまた然りだ。

 では、他の球団ではどうだろう。昨年の日本シリーズで対戦したベイスターズ。ホークスと同様に地域名を冠とし、企業名の入っている球団だ。こちらは歌詞の中に「横浜」がかなり多用されている。「チャンステーマ4」「攻めまくれ」「Fight oh! YOKOHAMA」「ホームランファンファーレ」など。

 パ・リーグで応援といえばマリーンズを思い浮かべる野球ファンは多いはず。今年登場した「チャンステーマ5」には千葉の2文字を見つけることが出来たし、チーム名を呼んで鼓舞する時に彼らは「千!葉!ロッ!テ!」と地域名つきで叫ぶことが多い。

 また、ファイターズも札幌ドームでの得点テーマは「お~い北海道」だし、好機になると「ジンギスカン」だ。イーグルスもメロディーは宮城県民が必ずと言っていいほど知っている遊園地のテーマソングを活用しており、歌詞の中にも「杜の都の牛タンパワー」など仙台を連想させる本拠地カラーが取り入れられている。