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連載池上さんに聞いてみた。

池上彰氏が考える“全国転勤”「私は『地方で働く記者』になりたかった」

池上彰氏が考える“全国転勤”「私は『地方で働く記者』になりたかった」

池上さんに聞いてみた。

2018/07/03
note

Q 日本企業の「転勤」文化、どう思いますか?

 三菱UFJ銀行では、来年春から全国転勤の有無が選べるようになるそうです。全国転勤は、終身型雇用の日本的な文化ともいえると思います。池上さんは、記者として全国を転勤されてきましたが、これからの働き方を考えるうえで、必要な制度だと思われますか?(30代・女性・会社員)

A 転勤は当たり前という企業文化は薄れていくでしょう。

 海外では経営トップに近いエリートは転勤もありますが、一般的には転勤がない場合がほとんどです。まして、家族を残しての単身赴任など想像を絶することのようです。

 会社の辞令1本で、すぐに全国各地に赴任する。実に日本特有の企業文化です。

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池上彰氏 ©文藝春秋

 私がNHKに記者として勤務していた時代は、転勤の内示から発令までごく短期間で、記者職は発令の日には転勤先にいるのが当然とされてきました。ディレクターやアナウンサーは発令から1週間以内に赴任すればよかったので、あまりの文化の違いに驚いたものです。記者の世界は、まるで体育会のようでした。

 私は「地方で働く記者」になりたかったので、NHKで転勤するのは当然だと思っていましたが、誰でもそう思うわけではありません。

 会社のための人生なのか、自分のための人生なのか。それを考えれば、転勤は当たり前という企業文化は薄れていくでしょう。それが当然だと思います。

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