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甲子園春夏連覇の島袋洋奨はいま――「背番号143」からの再出発

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/07/31
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 けたたましい警報音がグラウンドに鳴り響いた。鷹のファーム拠点「HAWKSベースボールパーク筑後」へ3軍戦を取材しに行った、7月20日のことだった。

 ホークスは3軍の試合でも酷暑を避けるために「タマホームスタジアム筑後」を使用して18時開始のナイターで行われる。選手や観戦するファンを守るための措置だ。今年の夏を思えば、これだけでもファーム本拠を移転した意義があるといって大袈裟ではない。

 ただ、ホームチームの試合前練習はプレーボールの4時間前から行われる。つまり、ホークスは14時から。一日で最も暑い時間帯と重なってしまうのだ。そこで今年から熱中症予防の機器がグラウンドに置かれるようになった。気温や湿度から「危険度」を知らせてくれる。その指数が一定以上になるとブザーが鳴るという仕組みだ。

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 ちなみにこの日、福岡市で観測史上最高の38.3℃を記録。ファーム本拠の筑後市から最も近い観測地点である久留米市は38.5℃(同地点最高)だった。

 ホークス3軍を率いるのはかつて阪神、中日などで活躍した関川浩一3軍監督だ。選手の体調管理には人一倍気を配っており、こまめな水分補給を促すのはもちろん、指揮官の発案で練習途中のシャワータイムが設けられるようになった。また、近くのプールにみんなで出掛けてのリカバリートレーニングも今年から導入された。

「僕らがしっかり見てあげないとね」と関川3軍監督。

 そう、3軍の若手たちは頑張りすぎてしまう。

 特に7月になると、彼らは心底焦るから……。

個性派揃いのホークス3軍選手たち

 3軍は育成選手を中心に構成されている。7月末が支配下登録期限だ。これを過ぎてしまえば、少なくとも今シーズン中は「戦力」として見なされることはなくなってしまう。

 ホークスは3軍制度を導入していることもあって育成選手は大所帯だ。

 色んな選手がいる。まさに個性派ぞろいだ。「身長/体重」が190/95の幸山一大、186/100の大本将吾、188/106の砂川リチャードはいずれもスラッガー然とした体躯。ロマンを感じずにはいられない。19歳のオスカー・コラスも飛ばす力はとてつもない。「キューバの二刀流」として来日し去年はマウンドに立っていたが、そういえば今年は投げていない。周東佑京は平凡なゴロを内野安打にしてしまうほど足が速い。幼少期に野ウサギを追いかけたから俊足になったとか。あとプレーとは関係ないが、野澤佑斗と樋越優一はとても人懐っこい(笑)。

 ほんと皆それぞれに個性があって面白い。

 その中でこの7月、どうしても気になっていた選手がいた。おそらく多くの野球ファンが名前を聞けば「確かに」と思う選手だ。

 島袋洋奨だ。

島袋洋奨 ©田尻耕太郎
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