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ダンディー西野監督の素顔「選手たちとのきめ細かすぎるつきあい方」

ダンディー西野監督の素顔「選手たちとのきめ細かすぎるつきあい方」

2018/07/02

 ロシアW杯で西野朗監督のダンディーさが注目されている。

 モロッコ代表のエルベ・ルナール監督やドイツ代表のヨアヒム・レーブ監督、セネガル代表のアリュー・シセ監督にも引けを取らない男前で、日本でも西野人気が上昇中だが、その素顔はどうなのだろうか。

西野朗監督 ©JMPA

遠藤保仁と西野朗の「マイペース対決」

 もともとこだわりと格好よさ(美意識)を追求するタイプだが、マイペースでもある。

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 ガンバ大阪時代は、ボルドーレッドのメルセデスベンツ・ゲレンデバーゲンが愛車。なかなかお目にかかれない独特のカラーで、これ自体がこだわりでもある。選手時代はスピードのあるFWだったが車は安全運転。ちなみにガンバの遠藤保仁は、それ以上に制限速度厳守で、万博公園外周の道路の流れが悪い時はたいてい前に遠藤の車がノロノロと走っており、西野監督以上のマイペースぶりを発揮していた。マイペースで似た者同士の二人が10年間、ガンバの中心にいて歴史を作って行ったというわけだ。

 西野監督の笑顔からこぼれる白い歯も印象的だが、あの白い歯はガンバ時代にインプラントをした成果でもある。インプラントは1年ほどをかけて行っており、ホワイトニングも入って見違えるほどきれいな歯並びと白い歯が生まれた。

普段は口を閉じているが、ふとした瞬間に白い歯がのぞく ©JMPA

 試合での正装は、スーツである。

 ロシアW杯では白いシャツでの指揮が目立ち、さわやかな姿を披露していた。指揮を執る時にスーツを着用するのは、初めて世代別代表チームを指揮する時、「スーツで」と関係者に言われたのが発端になっている。それ以来、試合の時はジャージではなく、スーツと決めている。それは63歳の現在も現役時代とそれほど変わらぬ体型をきちんと維持しているからできることでもある。

勝つための情報収集には余念がない

 プロの監督として見た目も結果も満点を目指す。それが西野監督の指導者としてのポリシーのひとつでもある。

 もちろん、そうした美意識は勝てる強い監督ではないと輝かない。勝負に勝つために西野監督の情報収集は非常に細かい。

©JMPA

 とりわけ選手の情報については、コーチやトレーナーからこと細かく聞いている。選手の中には試合に出たいがゆえに、ちょっとした怪我や病気を隠そうとするケースがある。試合に影響しなければいいが、多くの場合は問題が起こり、選手の交代時間が早まったり、怪我が重症化したり、チームに影響が出てしまう。そのために選手を観察し、情報を仕入れ、ちょっとした変化すら見逃さない。

 状態が今ひとつ分からない時は西野監督自身が練習中に呼びとめて選手と話をしたり、監督室に呼んだりしていた。現代表もそれは変わらず、長谷部誠にはチームの選手の状態についてよく聞いているし、故障個所が多い岡崎慎司についてはメディカルやトレーナーから随時情報をもらっている。