「期待を持っていただけない状況」にあった日本代表
話せないことがある、などという必要もないのに、わざわざ言わずにはいられなかったあたりに、実直さを感じた。いろいろあったのだなと想像できる、この時点ではそれだけで十分だ。
結果的に、監督交代からこの敗戦まで日本代表は注目を浴び続けた。スポーツメディアだけでなく、各種ワイドショーでも大きなテーマとなった。長谷部が以前に「未来のため」と話した、そのミッションはある程度達成できたのかもしれない。
「大会が始まる前、明らかに自分たちは、日本のみなさまからね、期待を持っていただけない状況にあったと思う。僕が今、大会が終わって思うのは、おそらく日本の方々は、日本代表チームに対して誇りを持ってくれたと思うんですよね」
「恐れているのは日本代表に対する無関心」
戦いぶりへの手応えを示しつつ懸念していたことと、先々への望みを語る。
「やっぱり自分たちが、一番、恐れている……よい言葉がみあたらないですけど、(恐れているのは)日本サッカーに対する無関心だと思うんですよね。結果が出なければ、やはり関心は薄れていくと思う。W杯とか大きい大会だけでなく、Jリーグ、海外サッカー、もちろん代表もそうですけど、うまくいってない時、勝てない時は、暖かい声援じゃなくていいんですよね。厳しくて良いので関心を持ち続けて欲しいなと思うし、それが日本サッカーを強くするとも思う。だから、こういう戦いができたのは日本サッカー界にとっては非常に大きいと思うし、これをどう次につなげていくかは、これからの課題かなと思います」
サッカーにおける主将の役割とは――。今回、長谷部の言動を聞くに、彼の存在なしにベスト16進出はなかった、そう断言できる気がした。